内容説明
不良少年時代、親友ロベール・ラシュネーに恋の悩みを訴える、息せき切った手紙。兵役時代、練兵場から雑誌編集長エリック・ロメールに書いた懇願の手紙。「あこがれ」のロケ地から「カイエ・デュ・シネマ」誌編集部のシャルル・ビッチへの撮影日記のような手紙。「大人は判ってくれない」脚本家マルセル・ムーシーに宛てた、シナリオ論のような手紙。盟友ジャン=リュック・ゴダールへの骨肉相食む袂別の手紙。そして、脳腫瘍手術の直前、「日本の友人/分身」である著者への最後の手紙…。手紙魔・トリュフォーの厖大な手紙を紹介しながら、ひとりの「映画人間」の人生をドキュメントで伝える、渾身の書き下ろし評伝。
目次
トリュフォーと「ドロテ・クラブ」
シネマテーク、シネクラブ、ビアリッツ映画祭
恋愛時代
兵役時代
若手急進派と作家主義
習作時代
映画術に向かって
『あこがれ』と結婚
ヌーヴェル・ヴァーグの戦い
映画はわれらのもの
ゴダールの決別、送られなかった手紙
トリュフォー最後の手紙
著者等紹介
山田宏一[ヤマダコウイチ]
映画評論家。1938年ジャカルタ生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業。1964~67年パリ在住。その間「カイエ・デュ・シネマ」誌同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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奥澤啓
32
私事に終始するのを許してください。トリュフォー!この名前を思いうかべるだけでこみあげるものがある。1980年に製作された「終電車」。主演はカトリーヌ・ドヌーブとジェラール・デパルデユ。ナチス占領下のパリを舞台とした演劇人の人間模様を描く。これぞフランス映画といいたくなる傑作。この作品のプレゼンのためトリュフォーが来日。神保町の三省堂でサイン会が開かれた。おぼえたてのフランス語で少し話した。サインをもらった。アテネフランセ以外で初めて話したフランス人。それが、私には、フランソワ・トリュフォーなのである。2014/12/15
garth
12
山田宏一がトリュフォーの評論集「わが人生の映画たち」(「わが人生、わが映画」)の翻訳をしていたときの手紙の中で「クロード・ソーテの門下生の若いシナリオライター、ジャン=ルー・ダバディはわたしの映画(『私のように美しい娘』)のシナリオにも協力していますが、とくに台詞作者としての才能は素晴らしく…」って書いてあってはっとしたんだけど、これ、トルシエの通訳だったフローラン・ダバディの父親のことだよな! たしかに映画脚本家だというのは聞いてたけど、何やったのかは調べたことがなかったのでびつくり。2012/08/05
suzukimaru
1
『緑色の部屋』日本公開(1980年)の実現に執着するトリュフォーとそれに答えようとする山田さんのやり取りが手紙だけにドキドキするなあ。インタビューやその他のドキュメントで巧みに構成されたもうひとつの『ある映画的人生』。ゴダールへの罵倒の手紙は愛憎半ばで痛切だ。2012/09/15
もな
0
かつて「ちくま」に連載されていた「トリュフォー書簡集」。一日千秋の思いで刊行を待っていたが、代わりに出たのが手紙の抜粋と山田宏一の文章をもとにしたこれ。刊行に至らなかった経緯は納得するしかないが、「トリュフォー書簡集」のあのスリリングな内容を思うと今でも残念で仕方ない。
rinrin
0
【BOOK-244】!!!!!!!!!!2012/11/13