出版社内容情報
友だちのいない香奈多と、友だちをなくした瑚子。中1の夏、ふたりは、秘密の場所で出会った。瑚子がつむぐ夢渡りの黒いネコ、ドコカのお話。眠りの中で、いろいろな世界をおとずれるドコカは夢渡りのネコ。願いがかなう「虹のしずく」を探して、ひとりぼっちの誰かの前に現れる--香奈多はその物語を聞くなかで瑚子を知り、大切な友だちだと思うようになる。瑚子もまた香奈多と物語を分かち合う喜びを感じた。ある日、香奈多は信じがたい事実を同級生から突きつけられる。悩んだ末に、瑚子に会って自分の気持ちを伝えようとするが……。
物語をなぞるように重ねた「もしも」のはてで、ふたりが見つけた宝物とは――。
内容説明
友だちのいない香奈多と、友だちをなくした瑚子。それぞれの夢と現実は重なり、ふたりの物語がつむがれる。
著者等紹介
村上雅郁[ムラカミマサフミ]
1991年生まれ。鎌倉市に育つ。2011年より本格的に児童文学の創作を始める。第2回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作『あの子の秘密』(「ハロー・マイ・フレンド」改題)にてデビュー。2020年、同作で第49回児童文芸新人賞を受賞。2022年、『りぼんちゃん』で第1回高校生が選ぶ掛川文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
172
中学一年生の二人の女子、香奈多と瑚子が時空を超えて友だちになるSFファンタジーの少し切ない物語です。彼方と此処という意味に通じる二人の名前が本書の仕掛けのヒントになって驚くべき真相を暗示していますよ。こういう設定は現実的には有り得ない事ですが、ファンタジーの世界の中ならどんなことでも可能になるのですね。この本を読む子供たちにSFファンタジーの発想に慣れ親しませてくれて、こういう不思議な関係でもちゃんと友情は育まれる事が解り悲しみの涙の先に喜びの笑顔が心に満ち溢れて行く事でしょうね。#NetGalleyJP2025/02/06
ぼっちゃん
51
書評家のあわいゆきさんが、野間賞もリベンジを果たして欲しいし、本屋大賞も受賞して欲しいとつぶやいておられたので、児童書だが気になり読んだ。”香奈多”と”瑚子”の交互の章で話は進むが、何かかみ合わない、それはイマジナリーフレンドだからなのか、もしも(if)の世界だからか、また二人が見つけようとしていた「虹のしずく」とは何だったのか、大人でも楽しめ清々しい読後感を味わえる作品でした。2024/07/10
がらくたどん
48
ポンコツでフワフワだから友達なんてできないかもねと思っている女の子カナタと自分のせいで大事な人を亡くしたんだから友達なんてできるわけないよねと思っている女の子ココが夏の初めに出会ったのはお互いの「秘密の場所」だった。二人が交互に語る物語。ifは「もしも」のイフ。ifは「イマジナリーフレンド」のイフ。でも、彼方と此処が重なるifは偶然じゃなく運命でもなく繋がりたい強い想いが開いた未来の可能性へのイフだった。SF味を強めた事で「まだ経験していない時間」まで諦めてしまいそうな孤独への怯えにそっと寄り添う物語。2025/03/05
ゆのん
46
久しぶりの村上作品。今回はどんな物語で楽しませてくれるのか。物語は2人の少女のそれぞれの視点から進んでゆくのだが、読み始めてすぐに違和感を感じる。丁寧に丁寧に読むも『?』が消える事はないのだが、大きく展開してからは『なるほど』と何度もつぶやいてしまう。タイトルの『if』の意味にも、少女達の名前にも壮大で素敵な意味が込められている事に感動する。人を想う心が、想像力が大きな奇跡を起こす。何度も涙を流しながら読んで、読了後は心地良い余韻と、心が浄化されたような清々しさを感じた。2024/06/08
もぐもぐ
41
ちょっと個性的で周りとうまくやれない香奈多と、中一の夏に出会い友達となった瑚子。二人の視点が交互に描かれますが、読み進めていくと徐々に違和感が。でも、その先にとっても優しい想いが待っていました。人はこうして深い悲しみから立ち直っていくんだなあ。香奈多の個性を温かく受け止める母親の在り方も素敵で、同級生の佑実の成長も気持ち良かったです。誰もが無限の可能性のifを持ってることを思い出させてくれるひと夏の物語。YAですが大人が読んでも十分面白いと思います。げみさんの装画も素敵。 #NetGalleyJP2024/06/18
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