出版社内容情報
青森県八戸市の郷土芸能「えんぶり」のえびす舞の踊り手に抜擢された太一。クラスでは明るいおちゃらけキャラを演じているがその心は複雑。「王子」と呼ばれ女子から人気の高い、大路優希とふたりでえびす舞の練習をするなかでたがいの気持ちをぶつけ合う。キャラをあっさり捨てる優希、キャラにしがみつく太一……最後にふたりがつかんだものとは?
内容説明
豊作を祈願する八戸の郷土芸能「えんぶり」は春をよぶ祭り。えびす舞をおどることになった太一と優希が、たがいの気持ちをぶつけながら最後につかんだものは…?『いっしょにアんベ!』、『ケンガイにっ!』を描いた著者が育つ南部地方(青森県)を舞台にした物語の3作目!
著者等紹介
〓森美由紀[タカモリミユキ]
地元図書館に勤務する傍ら、児童書から文芸書まで幅広く執筆。2013年、「咲くんだ また」にて第15回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。『いっしょにアんベ!』と改題し2014年にフレーベル館よりデビュー。同作品は2015年、第44回児童文芸新人賞受賞。2014年、第1回暮らしの小説大賞受賞作『ジャパン・ディグニティ』(産業編集センター)を出版。2017年、ノベル大賞受賞作『花木荘のひとびと』(集英社オレンジ文庫)を出版(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
42
高学年夏の課題図書。自分のイメージする明るいキャラに無理矢理自分を当てはめて行動することで安心感を得ている太一。一方、周りの勝手なイメージに窮屈を感じている王子こと優希。相対するような2人は八戸市の郷土芸能「えんぶり」で、えびす様を演じることに。本音をぶつけ合い2人の絆はぐっと深まる!そんな2人のやりとりから、そのままの自分を受け入れてくれる友だちの存在の大切さに気付かされます。話は東日本大震災にも触れられ、親方の「何べん失敗したっていんだ。何もやらねで死んじまうよっかずっとい」という言葉が心に響きます。2023/05/01
Totsuka Yoshihide
40
高森美由紀氏著作。2023年青少年読書感想文全国コンクール小学校高学年部門作品。青森県八戸市が舞台。春をよぶ祭り「えんぶり」で、転校してきた優希と主人公の太一の二人でえびす舞をすることになる。えんぶりの練習を通して自分自身と向き合っていく物語。「オレだけじゃない。ほとんどの子はキャラを被っている。演じている。素で生きぬけるほど、小学生ライフはあまくはない。」「さよならンダバ。」「挑戦したかったのに、できずに終わったひとがいた。一方、自分たちは挑戦できる。」が印象に残った。 2023/08/06
むつこ
27
2023、課題図書高学年とのこと。知ってたら図書館でかりなかったよ・・・(だって、それだけ子供たちに読んでもらいたいわけでしょ)地元の作家さんということで見つけるたびに借りるようにしているが、今回は「八戸えんぶり」の一つである「えびす舞」をする小学生が主人公。えんぶり自体が勇壮な男舞なので、子供たちの可愛らしい姿にひょうきんなしぐさが寒い屋外での踊りに(ココロの)温かさを感じさせる大切な舞いだ。主人公である転校生の二人が地元になじむ姿がいじらしい。全国の子供たちの感想を知りたいな。2023/05/21
どら母 学校図書館を考える
23
2023年度読コン課題図書 ひりひりするような主人公と転校生の心の表現に、はるか昔の小学生の自分が見えた。 それにしても、勤務先の高学年たち、何人が読めるかなあ?じっくり読んでほしいな。2023/04/19
マツユキ
21
郷土芸能えんぶりで、えびす舞をする事になった小5の太一と優希。一年前、引っ越してきた太一は学校では明るいキャラを演じていた。最近、転校してきた優希は整った顔立ちで女子の人気を集めていたが…。周りに馴染むため、本心を隠して、キャラを演じる太一が読んでいてしんどいですが、優希や親方、父親の言葉を受けて、前向きにえびす舞に取り組んでいく姿に感動しました。舞と一緒に、温かな交流が広がっていて、本当に良かったねえ。偶然目に止まった作品ですが、読んでよかった。2022/12/22