内容説明
あるときは漫画家、またあるときは絵本作家、シナリオライター、デザイナー、作詞家、作曲家、歌手、編集者等々、マルチクリエイター・やなせたかしの86年の人生が、そのまま戦後文化史となっている。
目次
第1章 過ぎてしまえば、みんな夢
第2章 血潮が熱いあの頃は
第3章 若さのほかは何もない
第4章 夢の中にも夢がある
第5章 ああ、少年は老いやすく
第6章 緑の若葉色あせて
第7章 たそがれ迫る人生に
第8章 時の流れはかえらない
著者等紹介
やなせたかし[ヤナセタカシ]
1919年(大正8年)2月6日、高知県に生まれる。東京高等工芸学校図案科(現千葉大学)卒業。三越宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務。1953年(昭和28年)退社、フリーとなる。1964年(昭和39年)より3年間、NHK「まんが学校」に先生として出演。1972年(昭和47年)季刊「詩とメルヘン」をサンリオより創刊。同年、「漫画家の絵本の会」を故手塚治虫氏等と結成。1973年(昭和48年)フレーベル館の月刊絵本「キンダーおはなしえほん」に「アンパンマン」を掲載。以後、アンパンマンその他多数の絵本を出版
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
気付くと読メに20年いる寺
31
新聞に連載されたやなせたかしの自伝。先に他社の自伝本を読んだので、お馴染みのエピソードはもちろん、割と詳細で良い。著名人もたくさん登場する。立川談志とTVに出たり、永六輔や向田邦子とも親しかったのだなぁ。手塚治虫よりも先輩だし。自伝を読んでふと気付いたが、やなせさんは容姿のコンプレックスがあるのか、やたらルックスを気にした記述が多い。自身のみならず他人にも。少年時代に抱いた傷なのかも。晩年の仕事は無償のものが多いのに驚く。鉄道で1500万円の黒字を出したのに、御礼に貰ったのが「メロン二個」とは。2014/09/03
トムトム
27
長く生きていると色々なことがあるんだなぁ。86才のやなせさんが人生を振り返ります。戦争の話も、台湾でさほど戦闘はなく終わったと書いてあり、そういう戦争体験もあるのだなぁと思いました。私の知人のおっちゃん(制作会社チーフプロデューサー)の語る昔話も、昭和の大スターの日常みたいな話が出てきて面白い。年配の方のお話、じっくり腰を据えて聞くと楽しいのかもしれません。2021/06/21
魚京童!
19
やなせいいよね。面白い。何がいいんだろうね。アンパンマンは風と共に去りぬなんだって。ドキンちゃんに振り回される物語。久々に読みたいな。なんか火事のところで永遠と愛を囁いていた記憶しかないが、読み終わったのかも謎だな。うえーって思った記憶しかないけど、年末暇だな。「俺は善意の人間だ、しかしつくったお前さえ俺を毛嫌いしている。なるほど俺は無力な者を殺しもした。しかし俺の苦悩はおまえの苦悩よりなお大きいのだ」正義の味方は悪が輝くことによって光るただの月なのだ。2024/12/13
安国寺@灯れ松明の火
17
2005年刊の自伝。「波乱万丈」とも違って、「ひとことで説明しがたい」感じが漂う味わい深い自伝です。「この道一筋」の人にも憧れますが、「どう表現してもしっくりこない」人にも憧れます。よく「最近の若者はハングリー精神がない」と聞きますが、それは「今に見ていろ」のような烈しさだけではなくて、深さや広さ、客観性を備えたものもあるように思います。『人生なんて夢だけど』の後にどんな言葉が続くのだろうと思って図書館で手に取りましたが、その後まもなくしての訃報。ご冥福をお祈りします。 2013/10/20
anne@灯れ松明の火
15
やなせさん追っかけ中。新聞に連載された自伝。”書いた”というより、”語った”のを誰かが書き取った感じなので、非常に読みやすい。他の本で、おおまかな人生については知っていたが、より詳しく知ることができる。生い立ちのこと、”便利屋”のように様々な仕事をしたこと、晩年に近くなってから花開いたこと、何より、奥様の最期が近づいたあたりには胸打たれる。人の喜ぶ顔を見ることが大好きなやなせさん。その精神を貫き通した人生だったのだなあと思う。私も見習って、頑張ってみよう!2013/11/18