出版社内容情報
田宮流抜刀術の達人で三味線の名手、矢内栄次郎を襲う権力の魔手!吉川英治賞作家が人生と野望の深淵を鋭く描く!
内容説明
“恨みは必ず晴らす”という投げ文が、南町奉行所筆頭与力の崎田孫兵衛に送りつけられた矢先、事件は起きた。妾のお秋宅からの帰途、何者かに襲われ重傷を負ったのである。しかもそれは矢内栄次郎の眼前で起きたのだ。事件の背景は何なのか?犯人は?栄次郎の心配をよそに、お秋は他の男に夢中になりつつあった…。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1983年『原島弁護士の処置』でオール讀物推理小説新人賞を受賞。87年『絆』で推理作家協会賞、89年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。1947年、東京に生まれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chacha
7
シリーズ10 今回は崎田孫兵衛が襲われた事件がまるごと1冊でした。お秋の恋の成り行きが気になる所でしたが けっきょく納まるところに納まったわけで。それにしても栄次郎のことをそんなに思っていたんですね。モテますね。2018/01/24
ひかつば@呑ん読会堪能中
6
与力崎田とその囲われ者のお秋がメインで、お秋さんの切なさがなんともいえなかったが、今回は、栄次郎というお節介のプロ(笑)が本来の役割を果たした見事な話だったな。 2013/06/14
sken
6
図書館で借りている本を見直してみたら、これを読み終わっていたことに気がつきましたぃ……っむぅ。今回はちゃんと栄次郎江戸日記ではありましたが、話の中心はお秋さんって感じですか。囲われ者として生きる女に、ふとしたことから胸に灯ってしまった恋の炎は哀しい結末に終わってしまいますが、そろそろ栄次郎も己の生きる道を見極めて、何らかの動きを起こしてほしいモンだとも思います。2013/06/08
FK
2
題名がおどろおどろしいが、今も昔も同じこと。前作の主人公は兄弟子だとしたら、今作は元奉公人であったお秋が中心となって話が展開する。主な登場人物のひとりひとりについてエピソードを作り上げていくということ。/ これはTVドラマでもそうで、主役を中心にしながらもその脇を固める人たちがその折々の回の中心として、あるいは狂言回しとしてドラマを進めていくのはよくあるパターンだ。/いずれにせよ彼ら登場人物たちの細かな造形が書き込まれ、私たちも知ることができ、よりこの作品のファンになっていくということだ。上手いものだ。 2014/09/26
壱分銀知恵
2
今回の栄次郎は芸のことは二の次で、お秋さんの絡みだからだろうか積極的に事件に関わっている。お秋さんの純と強かさや、崎田さんと金子さんとの関係とか私的に読みどころあり。栄次郎とおとよさん付き合わないかな、芸に深みが出そう。2013/04/03