出版社内容情報
上役に暴言を吐き謹慎処分を受けた裄沢広二郎は、定町廻りのお役を解かれて古巣の用部屋手附同心として復帰した。そんな裄沢にとっての最大の懸案は、奉行所内での己の処遇などではなく、幼馴染みの同心・来合轟次郎と美也の祝言のことだった。そしてその婚儀を阻もうとする者が現れ……。人気書き下ろしシリーズ第四弾。
内容説明
上役に暴言を吐いて三日間の謹慎処分を受けた裄沢広二郎は、盟友の来合轟次郎と美也の婚礼の儀が近づく中、その準備が遅々として進んでいないことを案じていた。大奥から戻って以来、美也が本所の備前屋に仮寓したまま親元に帰らないこともあり、実家の坂木家に幾度となく出席者を問い合わせても梨の礫。祝言の段取りをつけるため備前屋の主とともに訪ねた坂木家で、心無い言葉を耳にした裄沢は―。道理に合わなければ誰であろうと臆せず物申す裄沢の友情と奮闘を描く、痛快にして万感胸に迫る書き下ろしシリーズ第四弾!
著者等紹介
芝村凉也[シバムラリョウヤ]
1961年宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。二十数年のサラリーマン生活を経て著述活動に入る。2011年「返り忠兵衛 江戸見聞」シリーズにてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
66
頑固ではあるが、真っ直ぐな気性の北町奉行所の用部屋手附同心・裄沢(ゆきさわ)広二郎が活躍する物語です。宴のあと、狐祝言、まいない新三郎、秋日和、の短編4話のうち裄沢の親友で定町廻り同心・来合轟次郎と南町奉行所の定橋掛与力・坂木勘之丞の娘・美也の祝言を行なう「狐祝言」がよかったです。→2022/12/13
ニッキー
15
剣の腕が達つでもない、仕事も淡々とこなす地味な主人公だが、こと上役相手となると、部下としてこれほど扱い難い事はない。洞察力が鋭く、論が立つ。細かいことを見逃さない。人の情の裏側を読む。 非常な理不尽な上司には、とことん反発する。策を弄しても、なんなくすり抜ける。 小田切奉行は、そんな彼をかっている。 また上役が老練な家令に代わった。二人の仲はどうなる⁉️2022/07/20
coldsurgeon
6
1800年ごろの江戸時代後期、江戸北町奉行所を舞台とした時代小説。やさぐれ鉄斎と陰口をたたかれる同心が主人公。道理に合わなければ上役にも物申す主人公の活躍は、同僚であり幼馴染の祝言を、いくつもの難題を乗り越え、遂げさせる。主人公を陥れようとするたくらみには、洞察力の鋭さを武器に、すっぱりと乗り切ることができる。まさに踊るように、躍動するその姿は、凛々しく、清々しい。 北の御番所 反2024/04/03
ワンモアニードユー
3
シリーズ4作め。ついに来合が美也と結婚。しかし今回も様々なろくでなしが裄沢に関わってくる。変わらず面白い。2025/01/31
kmzwrs5781
2
信を置き大切にする人たちの婚礼を無事に執り行おうと奮闘する広二郎あっぱれなり。家族以上に幸せを願うなんて素敵すぎる。2024/05/23