出版社内容情報
天明七年、老中松平定信が各米問屋に江戸への廻米を申しつけた。江戸市中の米流通量を増やして、米価を下げる狙いだ。各藩には藩内の米問屋が、その触れを確実に実行するよう、義務を課した。実質、藩の責任において米俵を用意することになる。高岡藩には百俵の供出が求められた……。 好評シリーズ第七弾!
千野隆司[チノ タカシ]
著・文・その他
内容説明
江戸の米価高騰を解消すべく、老中・松平定信が廻米の触を出した。だが、不作、凶作のなか余分な米など誰も持ってはいない。定信は触を確実に実行させるため、各大名家に分担を課すことにした。高岡藩に課せられた分担米は二百俵。わずかな伝手を頼って正紀は奔走するのだが…。待望のシリーズ第七弾!
著者等紹介
千野隆司[チノタカシ]
1951年東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒。出版社勤務を経て、90年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞。時代物シリーズを始めとする著書多数。「おれは一万石」シリーズと「長谷川平蔵人足寄場」シリーズ(小学館文庫)で、第7回歴史時代作家クラブ賞「シリーズ賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キャプテン
47
★★★★★_「おれはサラリー万石フェア(給料が1万円でも下がればバイトに格下げ!)」第五弾。毎朝決まった時間に起き、満員電車に揺られ、上司に頭を下げ、外回りに走り、残業して、家に帰れば妻に小言を言われ、それでも文句を言わず、ちんけな小遣いで安酒を買い、同じ日を繰り返す。そんなサラリーマンはつまらない?いやいや、俺は素敵に思う。これ以上安い給料なら妻からバイト扱いされるかもしれない。それでもいいじゃないか。時の権力者、松平定信の究極の無茶振りと戦う正紀を感じて、下っ端だって素敵だと思えた今日この頃(では)。2019/01/09
夜の女王
29
米価高騰を抑えるために、老中松平定信は各藩に廻米の触を出す。さらに、高岡藩と府中藩は2倍の分担を課せられる。その裏には府中藩の跡継ぎ問題に絡む陰謀が!府中藩の廻米運搬を請け負いながら、分担米200俵を捻出するために東奔西走する正紀たち。7巻目も商人に頭を下げ回る話だった(笑)。そしてまたもや内緒で江戸を離れての切ったはった。それなりに面白いんだけど、ちょっとワンパターンかな。府中藩の跡継ぎ問題は次の巻へ続くようだ。兄には首を突っ込むなと釘を刺されているが、きっとまた巻き込まれるのだろうな。2019/03/27
はにこ
26
今回は廻米のおふれで高岡藩のノルマは200俵!ただでさえ一揆があったばっかりなのに。正紀達は足を棒にして回るがなかなか集まらず。しかし正紀が今まで頑張ってきたことで農民や藩士も力を合わせていく姿にじんときた。同じく苦戦を強いられていた府中藩の米を守り、ノルマを達成。しかし、府中藩のいざこざに巻き込まれそうな予感。2020/09/17
まみ〜
18
老中・松平定信が出した「廻米」の触れ💡江戸市中に米を流入させることによって米価下落を狙った策だが、凶作が続く中で、余分な米などあるはずもなく、各大名家は苦労する💨そして一揆が起こった高岡藩と府中藩は、他家よりも多い量の米を求められた💥前老中・田沼一派だった水野忠友が、田沼を追い落とした水戸家と尾張家の勢力減少を意図してのことだと考えた正紀たちは、何とか米を集めるために奔走する💨 うん、今作も面白かった🎶✨正紀さまは、相変わらず走ってましたけど(笑)家臣領民を大切にする姿がとてもいい😌2019/02/28
鮫島英一
10
剛腕をふるうことになる松平定信が、いよいよ老中として政務を開始する。「白河の清きに魚のすみかねて」で唄われるくらい定信は容赦がなく、高岡藩1万石にもその波は押し寄せる。老中相手では尾張徳川家にも泣きつけず、若殿は今日も江戸と領地を駆けまわる。封建時代の若殿は上流階級なはずなのに、ひもじくなるばかりなのには同情をしてしまう。それでも同情ばかりでおさまらないのは、彼の人徳なのでしょうね。2020/09/22