出版社内容情報
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
【目次】
内容説明
カフェの店長として忙しく働く清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いている。関係がこじれた原因は彼の「隠し事」にあると思っていた。そんなある日、松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。入院中の松木の家を訪れ、彼が隠していたノートを見つけた清瀬は、すれ違いの「本当の理由」を知ることになり―。“当たり前”に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年、佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、デビュー。21年『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞、23年『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞9位入賞、24年『ほたるいしマジカルランド』で第12回大阪ほんま本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mayu
28
コロナ禍にケンカが続いてる状況の恋人が事故にあったと連絡を受けた彼女の清瀬。意識が戻らない彼に不安に感じながら何があったのか調べ始める…。読み始めたら引き込まれてあっという間に読み終えた。寺地さんの物語はどこかにいつも自分を見つけてしまって苦しくなる。今回も店長をやっていた時の自分を重ねてしまったな。自分と違う部分があったり日常的に行っている事をできない人がいるという事を想像する事はとても難しい事だと思う。決めつけや偏見が余計見えづらくさせる。鋭い痛みを何度も感じるのに読むのをやめられない一冊。2025/11/10
よっち
27
悩み多きカフェの若き店長原田清瀬が、ある日恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受け、恋人が自分に隠していた秘密を知る物語。親友の樹と掴み合いの喧嘩をして病院に担ぎ込まれたという松木。しばらく音信不通だった彼の部屋を訪れ、彼が隠していたノートをきっかけに明らかになってゆく背景。樹の想い人・天音も絡めながら、上手くやれない事情を抱えて周囲の理解も得られず、不器用に生きることしかできなかった登場人物たちの想いがあって、それでも気にかけてくれる存在や、安心できる居場所の大きさを改めて痛感しました。2025/10/15
一華
22
カフェの雇われ店長として多忙な清瀬。恋人とは喧嘩をし、数ヶ月会っていない…その恋人の松木が怪我をし、意識不明となる。喧嘩の原因となるノートを見つけ、真実を少しずつ知ることになる。清瀬と松木、それぞれの視点から日を追い、また遡り進んでいく。品川さんの『知ってたら、どうしたんですか?』に、胸がつまる。「知る」ということと「知ったつもりになる」ということ…考えさせられた。2025/11/21
だい
12
【感想1】2023年本屋大賞第❾位の本作は寺地はるなさんの作品です。川のほとりに立つ者は水底に沈む石の数を知り得ない。悪意と絶望に至った日々の内情を…心に流れる暗くて深い川を思い水底に沈むたくさんの石をひとつひとつ拾い上げれたら…カフェ店長の清瀬は恋人の「隠し事」が原因ですれ違う毎日。恋人の幼馴染との約束、そして無数の手紙の下書きに隠された真実…正直に人を思いやれる人が馬鹿をみる世の中の理不尽さを中心に心に寄り添うとはどういう意味なのかを考えさせられました。
ナオ
8
なんてゆーか、切ない物語だなって。川のほとりに立つ者って誰なんだろう?皆、それぞれに川のほとりに立って、水面に何を見るのか。 カフェの店長をしてる主人公。ある日、恋人が意識不明の連絡を受けて …。過去とその後の二人の物語が、それぞれの視点で語られて。 私の中で一番、印象的だったのが、恋人が友人の事を語ろうとした時、 悪気も無く言った言葉に、躊躇ってしまう場面。きっとこんな場面は、 当たり前に日常にあって、少しずつ 、あったかもしれない未来を変えてしまうんだろうなって。読む前より 少しだけ優しくなれる物語2025/10/30
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