出版社内容情報
行政書士の斉木のもとに不穏な電話が。男は娘を誘拐したと告げ、返してほしければ指定場所に来るよう命じる。現地を訪ねた斉木は、男がビルの屋上から飛び降りようとしているのを目撃した。その場で斉木に突きつけられた思いがけない要求とは――? 日常に潜む闇を描いた第35回小説推理新人賞作家のデビュー短編集、待望の文庫化!
内容説明
行政書士の斉木にかかってきた不穏な電話。男は娘を誘拐したと告げ、返してほしければ指定の場所に来るよう命じる。現地を訪ねた斉木は、男がビルの屋上から飛び降りようとしているのを目撃した。その場で男が斉木に突きつけた、恐るべき要求とは―?日常にひそむ人間の闇を描いた、第35回小説推理新人賞作家のデビュー短編集。
著者等紹介
増田忠則[マスダタダノリ]
1968年生まれ。神奈川県横浜市出身。関東学院大学卒業。2013年「マグノリア通り、曇り」で第35回小説推理新人賞を受賞し、受賞作を含む『三つの悪夢と階段室の女王』でデビュー。改題した本書が著者初の文庫となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayuri
50
「マグノリア通り、曇り」「夜にめざめて」「復讐の花は枯れない」「階段室の女王」悪意をテーマにした4話収録の短編集。ホラーよりも恐ろしい。ごく普通に平々凡々な日常を送っていた人達が何かをきっかけにして悪意の渦に飲み込まれ、罠に嵌り堕ちていく。因果応報と呼ぶにはあまりにも酷い仕打ちに心が削られた。人間誰しも心の中に悪が存在する。その悪が境界線を越えた瞬間、悪意はその何十倍にも膨れ上がりブーメランのように舞い戻り己の首を締め上げる。いつ自分の身に降りかかるかわからない。明日は我が身とならないように気をつけねば。2024/03/24
akiᵕ̈
41
まさに悪意。悪意がこれでもか!と詰まった4話からなる短編。1話目の「マグノリア通り、曇り」から引き込まれる展開。人は見知らぬ他人に容赦ない。面白がる人の悪意。それによって心に傷を負い、そこから芽生えるそれ以上の悪意が容赦ない。自分たちが感じている以上に相手にとってはそれが計り知れない悪意だと捉えられ、恨まれ続けた挙句に起きた最後の最後まで気が抜けない展開!ここまでの執念たるや恐ろしい!「復讐の花は枯れない」。軽い悪意のつもりが、嘘に嘘を重ねる羽目になった結末が悲しい「階段室の女王」。どれも秀逸な作品♪2023/03/11
森オサム
40
著者初読み。何となく手に取り冒頭数ページ読んで見た。その後著者紹介で同い年の作家だと知り、これもご縁かと購入。内容は推理小説では無くサスペンス系で、広義のミステリーとは言えるかな。人の「悪意」、そして「狂気」を詰め込んだ様な作品集だが、登場人物の行動原理みたいな物が割と単純なので、結構あっさりと読み易い。深みは余り感じ無いが、エグみは有ったと思います(とは言えイヤミス、ホラーは全然読まないので、その筋の方の感想は分からん当社比ですが)。今の所著書は本作だけ見たいですね、次回作も頑張って、同級生!。2023/07/08
ちょん
29
短編集。似たような話がありましたが、オチが違ったのでまぁいいか(笑)「無責任」「責任転嫁」からくる悪意のお話。いかにも現代風、とてもあるあるな話。憎悪まで大きくならない小さな「悪意」や「嫌悪」が思いもしない結果になってしまうのは現代のあるあるだと思います。2023/04/17
JILLmama
20
イヤミス短編集。イヤミスだけど何故かネバっぽくない。淡々としてる感じ。女のドロドロはない。人の腹黒さとか怖さのイヤミス。好き嫌い分かれそう。2023/06/24