出版社内容情報
あたたかい家庭がほしいと願いながら、恋人どころか友人もできず空回りばかりしている奈月は、生きづらさを抱えて日々暮らしていた。悩みを共有できる人がいないか、「生きづらさを克服しようの会」を勝手に発足し、勧誘チラシを撒く。すると、モテなさすぎて辛いと話す男性から連絡がきて――。どうして私たちは他の人のように「普通」に生きられないのか。生き方に悩む男女が不器用に前進していく。
内容説明
あたたかい家庭がほしいと願いながら恋人どころか友達もできず、職場では空回りしている奈月。この生きづらさを共有できる存在を求めて「生きづらさを克服しようの会」を一人で作る。すると、モテなさすぎて辛いと話す男性から参加希望の連絡がきて―。「普通」に生きられない男女が、現代社会を溺れかけながらもサバイブする姿に心震える長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
127
私には、少し読みづらかった。生きづらいって、自分は何も変わっていないのに気づかないうちに、世の中や周りだけが変化して、取り残されてしまったような感覚だと思っています。きっと、誰もが同じように感じているんだと思います。ちょっとしたきっかけがあれば救われると言うことなんだろう。作品の中で女性と付き合うにもコストパフォーマンスを取り上げていて、一人の女性に3千円とありました。話題の芸人さんもタクシー代として同じ額を渡していたとありました。やっぱり、私は生きづらい。2024/01/27
モルク
109
「死にたい」の手前の「生きづらい」。人付き合い、仲良くしてくれているようでも何か違う、漂う違和感。それを感じながらも陽キャラを取り繕う奈月は「生きづらさを克服する会」を結成、4人で己の心を独白することで克服していこうとする。そして聞き手はそれに口をはさまずとにかく聞く。確かに話している途中で口をはさまれると気持ちも萎えるし話の方向が違ってきたりする。そしてただひたすら聞くというのは案外難しい。さて、この四人は再生できるのか。2024/06/28
シナモン
106
普通に生きたいだけなのにやることなすこと空回り。自分の人生、なんでうまくいかないの?そんな生きづらさを抱えた人たちが集う「生きづら会」の物語。タイトルからして重そうで覚悟を持って臨んだけど、内容はどこかコミカルで読みやすく、なんだかんだ生きることに前向きな彼らに読後明るい気持ちになる一冊でした。2023/12/21
mike
99
何をしても空回りして人間関係が上手く行かない奈月。この気持ちを誰かに分かってほしくて立ち上げた「生きづら会。」そこに其々の生きづらさを抱えた男女が集まり自分の思いを吐露する。家族には絶対に言えない事を自分と無関係の者が最後まで静かに耳を傾けてくれる。回りは意見を挟まず黙って聞く。ただそれだけで心が軽くなったりこれまでと違う考え方が出来るようになる。重いタイトルだが流れるようなストーリー仕立てに引き込まれて行った。1度溺れかけた者達が息を吹き返し再び自分で泳ぎ始める姿に力強さを感じ自分も頑張ろうと思った。2023/07/18
のんちゃん
95
衝撃的なタイトル。しかも作者はユーモラスな表現の作品の中にも、人生の儘ならなさをこれでもかといつもぶち込んでくる南綾子氏。構えて読み始めた本作の内容は人生、うまく泳いでいけない4人の男女が、半同居生活をしながら「生きづらさを克服しようの会」を作り、語り合う物語。生きづらさとは各々のパーソナリティから生まれる産物なのだろうが、その扱い方もそのパーソナリティによるものだと言うことが、彼らの語りから私が得たものである。でも南綾子氏が著したかった事はそんな小難しい事ではなく、語り合える人のある幸せだと私は思った。2023/05/01