出版社内容情報
東京・池袋で男の刺殺体が発見された。警視庁池袋署刑事課長の本宮は、捜査の過程で捜査一課長からある密旨を受ける。その約半年後、東京・新木場で爆殺傷事件が起きる。やがて容疑者が浮上するが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その流れに違和感を抱く。そしてまた、管理官となった本宮も違和感を覚えていた。捜査の裏に、いったい何があったのか――。
高度化する情報社会における警察捜査を重厚に描いた警察小説。第162回直木賞候補作、待望の文庫化。
内容説明
東京・池袋で男の刺殺体が発見された。警視庁池袋署刑事課長の本宮は、捜査の過程で捜査一課長からある密旨を受ける。その約半年後、東京・新木場で爆殺傷事件が起きる。やがて容疑者が浮上するが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その経緯に違和感を抱く。そしてまた、捜査一課の管理官となった本宮も違和感を覚えていた。捜査の裏に、いったい何があったのか―。
著者等紹介
誉田哲也[ホンダテツヤ]
1969年東京都生まれ。学習院大学卒業。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞、人物それぞれの精密な視点から物語を構築し、警察小説をはじめ犯罪小説や青春小説等を執筆。多くの読者を獲得している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
納間田 圭
143
“スパイダー”という名の国民監視システム。秒単位で犯人を〇〇。AIをテーマにした仮想小説。これが近未来の日本警察の姿。普通の捜査では見つけることすら困難な犯罪に対して、現時点では違法とされる手法で明らかにされた犯罪行為を正当に裁くにはどうすればいいのか?。サイバー攻撃に対して防御に徹するのは得策でない。有効なのはそれ以上の攻撃を仕掛け、相手のシステムをダウンさせること。しかし相手が皆目分からないので反撃もできない。サイバー戦争は常に仕掛け側が有利な戦いである…よくよく胆に銘じておくこと…2022/12/23
のり
120
誉田作品にしては第一・二部と地味な印象だったが三部に突入するとイッキに緊迫してきた。爆弾事件の犯人に関するタレコミが入った。犯人は捕まったが、捜査本部の一部の人達がネタ元を気にする…情報を得るために、秘密裏に動き出していた監視システム。決して表には出てはいけない裏捜査。携わっている人員も心身に異常をきたす。そのシステムにも不具合が表れ、その理由も悲劇だ。これからこの様な社会になっていくのか…2023/01/21
タツ フカガワ
103
池袋で起きた殺人事件が解決したきっかけは捜査関係者のある一言だった。新木場での男女爆殺傷事件は、一本のダレコミ電話が犯人逮捕に繋がった。二つの捜査に携わった警視庁捜査一課の本宮は、解決に導いた情報の裏取りがあいまいなことに不審を覚える。そんなとき警視庁内に通称“運三”と呼ばれる部署があるのを知るが、そこは存在も活動内容も一切不明な秘密部署だった。これ、ほとんど現実のことなのでは、と思えるほど怖い内容で表題の意味にも納得。読み進むほどに面白くなった本で、誉田さんが描く刑事、本宮や上山もよかった。2022/11/09
H!deking
99
すごく良くできたストーリーで、本当に背筋がゾっとする話ではあった。確かにこれなら犯人は秒で見つかるよね。リアルで怖いです。とは言え誉田さんのファンとしてはキャラがちょっと弱い気がする。ストナイとかみたいなキャラが欲しかったなっていうのが個人的な感想です。2022/11/04
ケイ
98
誉田さんの警察モノは、亡くなった彼女を思い出してしまい、ここ数年は手を伸ばせなかった。姫宮は出ないと知り、読んでみる。ここで問題視されていることは素直に手法として受け入れていいんじゃないかと思うので、疑問符のままになるのかと不思議にすら感じられた。しかし、スノーデン事件の頃に書かれたのであれば、それもあるかもしれない。スノーデンは、ロシアがこうなった今、自分がロシアに亡命したことをどう思っているのだろうか。2024/04/05