出版社内容情報
消息不明の大物映画人を捜し出し、不可能と思われたインタビューを成功させる――〈人捜しの神部〉の異名を取る女性編集者・神部実花は、上司からの無理難題、読者からの要望に振り回されつつ、持てるノウハウを駆使して今日も奔走する。だが自らの過去を捨てた人々には、多くの謎と事情が隠されていた。次号の雑誌記事を書くために失われた過去を追う実花の取材は、人々の追憶を探る旅でもあった……。
内容説明
消息不明の大物映画人を捜し出し、不可能と思われたインタビューを成功させる―“人捜しの神部”の異名を取る「特撮旬報」編集部の神部実花は、上司からの無理難題、読者からの要望に振り回されつつ、持てるノウハウを駆使して今日も奔走する。だが自らの過去を捨てた人々には、多くの謎と事情が隠されていた。次号の特集記事を書くために失われた過去を追う実花の取材は、人々の追憶を探る旅でもあった…。
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。12年に『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年に『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年に『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、19年に『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
62
特撮界を支えた影のヒーローが蘇える!雑誌編集者の実花は〈人捜しの神部〉と異名を持つ世間から音信不通となった過去の功労者を捜し出す技に長けた努力の仕事人だ!昭和と云う時代にはどの業界にもその仕事に携わったプロがいてそれぞれの担当いや職人と言い換えても良いかもしれない、その労苦に依ってもたらされた煌めきが確かに在ったと思えるのだが、この特撮と云う特別な業種をクローズアップすることで時代を!こだわりの仕事を!いや増しに伝えているように思う。しかしながら現実にもそうした人達が次々と鬼籍に入っていることはせつない。2022/03/03
hit4papa
55
特撮雑誌の女性編集者が、往年の映像作品に関わった人々をさがし出すという連作短編集です。主人公は「人捜しの神部」との異名も持つ女子。極々些細な手掛かりから、行方知れずとなった人々に辿り着きます。地道な捜査の過程は、ミステリであり仕事小説でもありますね。取り上げられる映像作品は架空のものですが、元男の子(?)としては、読み進めるうちに懐かしさ満開となってしまいました。「封印作品の秘密」は、実際に封印された円谷プロ作品を彷彿させます。特撮に魅入られたことがあるなら、ファンの細部への拘りに共感することでしょう。2021/02/12
チアモン
53
特撮雑誌の編集者がマニアが喜びそうな特撮関係者の消息を探し当てるという、今まで出会ったことのないようなストーリーで面白かった。ハードボイルド以外の月村氏の作品を読むのは初めて。続編を希望します。2020/06/23
森オサム
43
タイトルを見てこんな内容の話だとは思わなかった。実際は「探偵小説」では無く、雑誌編集者の「お仕事小説」です。ただ、その仕事内容がほぼ人探しなので、クラシックな私立探偵物的では有ります。しかし雑誌の題材が、70年代から90年代に制作された特撮作品、と言うのが何ともマニアックで、その架空の特撮作品にニヤニヤするのは中年以上のおじさんだけじゃないのかな?。ニッチな題材を選んだチャレンジ、多分自分の書きたい物が書ける作家さんなんだろうな、と想像します(笑)。おじさんにはとても面白かった、最初の2篇は特におススメ。2022/03/05
dr2006
43
個人情報保護が厳しくなった現社会において、会いたい人を探し出すのは極めて難しい。黎砦社の神部実花は、ゴジラやウルトラマン、仮面ライダーといった昭和後期の特撮映画ファンに向けた雑誌「特撮旬報」の編集者だ。実花は次号の特集記事の為、特撮技術で多くの功績を残すも突如引退し行方が分からない佐久田政光を探すことになった。生きていれば80歳、40年もの年月は彼と親交を持つ人でさえ探すのを困難にさせた。人が死にまくることが無いからか、今迄に読んだ月村了衛の作品とは雰囲気が違った。人探しの探偵というニッチな題材にも感服。2021/11/23
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