出版社内容情報
陸上200m走でオリンピックを狙う沙良を悲劇が襲った。交通事故に巻きこまれ、左足を切断、しかも加害者は幼馴染みの泰輔だった。アスリート生命を絶たれた沙良は恨みを募らせる。そんな泰輔が殺害され、高額な保険金が支払われた。犯人は誰なのか? また、絶望の底から再起を図る沙良の運命は? どんでん返しの先に感涙のラストが待つ傑作長編ミステリー!
内容説明
陸上200m走でオリンピックを狙うアスリート・市ノ瀬沙良を悲劇が襲った。交通事故に巻きこまれ、左足を切断したのだ。加害者である相楽泰輔は幼馴染みであり、沙良は憎悪とやりきれなさでもがき苦しむ。ところが、泰輔は何者かに殺害され、5000万円もの保険金が支払われた。動機を持つ沙良には犯行が不可能であり、捜査にあたる警視庁の犬養刑事は頭を抱える。事件の陰には悪名高い御子紫弁護士の姿がちらつくが―。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。音楽から社会問題、法医学まで幅広いジャンルのミステリーを手がけ、多くの読者の支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SJW
136
将来オリンピックで活躍することを夢見て、実業団の陸上200mで練習を励む市ノ瀬沙良に、交通事故で左足を失うという悲劇が起きる。その後に事故を起こした幼馴染みの相楽が殺害される事件が発生してしまうが、沙良はアスリート用の義足を作り200m競技を続け、諦めずにパラリンピックを目指す。御子柴弁護士と犬養刑事が事件で対決する展開もあり、中山さんのファンには嬉しい。今回の読み所は、突然障害者となってしまう辛さと苦悩、それから甦る執念、珍しい中山さんのスポーツ描写、涙のラストかな。2020/05/05
のり
113
20歳で200m走のトップアスリート「沙良」は交通事故に遭い左足を失う。しかも加害者は隣の家に住む幼馴染。あまりにも衝撃が大きすぎ失意のどん底に陥る。再びの衝撃は加害者が刺殺という形で沙良にのしかかる。この事件をきっかけに「御子柴」vs「犬養」の対決に発展。夢の共演である。沙良は競技用義足との出合いで夢を取り戻そうと前を向くが…協力者を得て未知の世界に羽ばたこうとする姿にアスリート魂を感じた。2020/04/28
ワレモコウ
80
ノンシリーズみたいだが、犬養刑事と御子柴弁護士の共演が楽しめる作品。陸上200mでオリンピックを目指していた沙良は、隣家に住む幼馴染の泰輔の無謀な運転に轢かれて左足を失ってしまう。間も無くして、その泰輔の死体が発見される。動機がある沙良を疑う犬養刑事と、生前の泰輔についていた御子柴弁護士との対決を、沙良の再起をかけた物語と絡めている。ミステリー好きで読んでいる私としては、少しアスリートの部分が冗長過ぎる気がしたが、これはこれで面白かった。パラリンピックの陸上を、違った目で見ることができそうだ。2021/07/24
金吾
74
○中山さんらしいどんでん返しはなかったものの、読みやすく面白かったです。世界を目指していちアスリートがその機会を失うのことは物凄い絶望感があるということを頭では理解できますが、到底体感は出来ないと思いました。主人公もお金だけ手に入れてもこのようなチャレンジは出来なかったように感じました。2021/04/21
sin
64
突然の交通事故で左脚を失ったアスリートがパラスポーツで再起を目指す!無免許運転は危険運転致死傷罪の対象にならないこと!?身体に障害を持つことによる社会との乖離!これだけでも十分に重いテーマなのに被害者の彼女にもう一度アスリートとしての道を歩ませる。それにしても作者はどこでスプリンターの疾走感を会得して文章に落とし込んだのだろう?おまけにこの件に絡んで殺人事件が発生し、あの犬養刑事が登場し、あの御子柴弁護士の介在が明らかになり、両者の対決まで用意されている。まさに一粒で二度、いや四度おいしい作品だと云える。2023/01/23