出版社内容情報
光原百合[ミツハラ ユリ]
著・文・その他
内容説明
大学受験に失敗し、予備校に通う信也はある日、河川敷で絵を描いていた紅美子と出会う。やがて同じアパートに住むようになり、信也は紅美子と親しくなるが、信也は“ある事情”を抱えていたのだった…。「恋しくて恋しくて、その分憎くて憎くて、誰かを殺さなければとてもこの気持ち、収まらないと思った」―切なすぎる結末が感動を呼ぶ物語。第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作を含む、珠玉の短編集。
著者等紹介
光原百合[ミツハラユリ]
広島県生まれ。大阪大学大学院修了。詩や童話を執筆しながら、1998年に初のミステリー作品である『時計を忘れて森へいこう』を上梓。2002年、「十八の夏」で第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
26
花をモチーフにした短篇集。優しさやたおやかさを醸し出す花々が時には激しく恐ろしい恋の象徴のように描かれていく。切ない結末に誰が悪いのでもないと思う。2016/08/21
ぜんこう
22
アミの会(仮)で気になって初読。アミの会(仮)で書かれてる童話などをモチーフにした方が僕には正直好みです。 ■「十八の夏」さすがに40年若い男に感情移入できません■「ささやかな奇跡」ええ話(落涙)「だるまさんがころんだ」じゃなく「ぼんさんがへをこいた」やし…大阪の女性に恋したくなる(あ〜僕は大阪出身やのに〜)■「兄貴の純情」こんな兄貴、他人事やからええけど本当やったら困るなぁ■「イノセント・デイズ」ぎっくり腰の話かと思ったら重~い苦~い話でした。◇あとがきを読むまで花をモチーフにした連作って気づかなかった2017/11/09
UC
15
積みから読了。夏に絶対読もうと思ってた一冊ですが…気づけば秋です。というわけで、早急に読みました笑。「十八の夏」と「ささやかな奇跡」が好きでした。特に後者、とてもとても微笑ましい。大人の落ち着きを兼ね備えた暖かさが感じられる物語でした。あと金木犀の香りをひさひざに嗅ぎたくなりました笑2016/10/13
wacchi
12
「恋しくて恋しくて、その分憎くて憎くて、誰かを殺さなければとてもこの気持ち、収まらないと思った」(「十八の夏」より) 花をモチーフにした作者の連作短編集。ジャンルはミステリー…になるのかな?誰が望んだわけでなくても、別れや不幸はやって来る。人間は愚かだから、その壁にぶつかった時、判断を誤ってしまう事もある。そんな人間の事を、神様は許してくれるでしょうか…? どの短編も、程度の違いはあれ、悲しみの中にも救いがある物語でよかった。特に「ささやかな奇跡」が温かくて好きでした。2017/10/05
夕やけLION
12
花をモチーフにした短編集。 がっつりミステリーではなく、人の中にあるミステリー、感情の中にあるミステリー、どう言葉にすべきか悩ませるミステリー小説でした。2016/08/23