出版社内容情報
アジアの西の果て、荒野に立つ直方体の白い建物。一度中に入ると、戻れない人間が数多くいるらしい。その「人間消失のルール」を解明すべくやってきた男たちは、何を知り得たのか? 人間離れした記憶力を持ち、精悍な面差しながら女言葉を繰り出す魅惑の凄腕ウイルスハンター・神原恵弥を生み出したシリーズ第一弾、新装版!
内容説明
アジアの西の果て、荒野に立つ直方体の白い建物。一度中に入ると、戻れない人間が数多くいるらしい。その「人間消失のルール」を解明すべくやってきた男たちは、何を知り得たのか?めくるめく幻想と恐怖に包まれる長編ミステリー。人間離れした記憶力を持ち、精悍な面差しで女言葉を繰り出す、魅惑のウイルスハンター・神原恵弥を生み出した、シリーズ第一作!
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年宮城県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『六番目の小夜子』が第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作に選ばれ、デビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
216
お姉な探偵・神原恵弥シリーズの第一作となるこの作品。アジアの西の果て、荒野の中にたった四人、これは冒険ものなのか、ミステリーものなのか、はてまたホラーなのかという雰囲気が漂う一方で場違いとも思える怪しさ満点の主人公・神原恵弥の登場。謎に満ちた異世界の空間の中で食事風景だけがやたら活き活きとしてリアルなのがまた不思議な雰囲気を纏います。全体としてテンポも良く、小気味良くまとまっていて、それなりの納得感も得られる、なかなか面白いこの作品。神原恵弥はここから始まった、彼の初陣作として、とても印象深い作品でした。2021/11/05
しんたろー
193
神原恵弥シリーズ第一作と銘打たれた本作は、ファンタジー+ミステリ+ホラーな内容…アジアの荒野にある直方体の白い建物は中に入ると消えてしまう人間が続出。その謎を解明すべくやってきた恵弥、満、スコット、セリム4人の男たちの物語…まるで、ミステリーゾーンを舞台にしたアメリカのB級映画を観ているかのような面白さだった。不可解な消失に対する様々な推理、おどろおどろしいシーンなどで楽しませてくれた。恩田さんらしい「投げっ放し」も散見するが、「それも御愛嬌」と流せれば一時の空想世界で遊べるので、続編へ進みたい♬ 2019/04/29
パトラッシュ
174
SFかミステリかホラーかロマンか。たいていの作家は専業だが、全ジャンルに通じた恩田陸はクロスオーバーをも巧みにやってのける。現代小説では困難な迷宮探検ドラマを、こんな形で実現する手腕は見事だ。入る人すべてが戻らない伝説のある謎の建物を、最新の技術を投じて解明するとの導入部に引き込まれる。しかもリーダー格は女言葉を話す青年恵弥なのだから、キャラ設定もぬかりない。異常な世界に導かれるかと思いきや、予想外の結末へなだれ込むのだ。主人公のウイルスハンターとしての活躍シーンがなかったのは残念だが、続編に期待したい。2021/10/17
相田うえお
153
★★★★☆18052 冷奴の美味しい季節到来!さて、何の情報も入れずジャンルすら知らず興味津々読み始めました。出だしの情景説明『のしかかるような切り立った岩の壁に挟まれた谷底を...』で北海道の層雲峡と苔の同門が頭に浮かんできました。(行ったことないけど)『その谷底を抜けた先の丘にある豆腐型迷宮的遺跡』が、過去に流行った巨大迷路とラップしてしまって。。当方、日光江戸村の巨大迷路に入ったとき、周りの人が急に消えたんです。焦って壁を手で伝いながら彷徨ってると、なんと当方もワープしてしまった。凄いカラクリだ!2018/07/01
nobby
115
古来より「存在しない場所」「あり得ぬ場所」と呼ばれた荒野の丘の上に立つ直方体をした白っぽい建物。そこに入り数多く戻らない人達の謎は何なのか?それを解き明かしていく様が、伝承やSF・ホラーなど興味深く広がりをみせ面白い。それにしても畏れ多い建物の呼び名が“豆腐”で、それを連呼するって(笑)個人的に恵弥のオネエ言葉の個性があまり響かず、ちょっと苦痛…後半にかけて、“豆腐”の中を紐解くにつれ訪れる恐怖が衝撃!それだけに唐突に訪れる結末が案外現実的で少し物足りなさ感じる…2017/06/02