双葉文庫<br> 風紋〈上〉 (新装版)

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双葉文庫
風紋〈上〉 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 606p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784575517132
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

あなたの近しい人が、ある日突然殺されたらどうするでしょうか。嘆き悲しみ、怒り憤るでしょうか。―高校生の真裕子は、母を殺された。犯人は逮捕されるが、苦しみは終わらない。現実を受け入れようとするのだが、それができない。必死に精神のバランスをとろうとする彼女の周囲には、重く張り詰めた空気だけがある。果たして真裕子は、安らぎを得ることができるのだろうか…。

著者等紹介

乃南アサ[ノナミアサ]
1960年東京生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務を経て、88年、『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞の優秀作になりデビュー。96年、『凍える牙』で第115回直木三十五賞を受賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

401
まだ事件の真相はわからないのだが、被疑者の供述通りだったとすれば、殺人はとっさの犯行であり、決断から殺害の完遂まではわずか10分くらいの時間しか要しなかっただろう。それが、被害者の生命を奪うばかりか、被害者の家族やその関係者も、また同様に加害者の家族や親族にまで類が及ぶ。本書は、そういった課程を実に周到に、なおかつ非情なまでのリアリティを持って描き出してゆく。まさに表題の風紋のように、影響は広がってゆくのである。日常生活の中で、誰もが想定していなかった事態が、ある日突然に招来する。2019/01/22

nobby

124
これはまた600頁超をほぼ1日で読ませる秀作。ある土曜日の午後、洗濯物取り込みとキャベツの千切りを頼んだメモを残して帰らない母を心配する真裕子をよそに、姉や父は反発や軽蔑から傍観するばかり…そんな中、母親は放置された車内で殺されていた。物語は容疑者起訴までの数日間を、被害者・加害者・警察捜査・報道の視点入れ替えながらも起伏それほどなく描いている。何よりも日常に重ねながらの心情描写が絶妙で、どんどん読める!現状での違和感たっぷりな供述に、何となくある人物の影を感じるが、毎度懲りずに予測しながら早速下巻へ♪2017/09/26

のんき

106
乃南アサさんは、事件の加害者以外、みんな被害者だと言います。ほんとにこの作品は、まさにそうだと思います。特に、殺された母親の娘がかわいそうでした。姉妹のうちの妹のほうです。事件の後に、色んなことがわかります。何にも知らなかったのは、彼女だけ。事件の前から、もともとバラバラだった家族が、事件の後には、家族が崩壊してしまうなんて。被害者の家族も、加害者の家族も、マスコミに、色々書かれて、文字にすれば嘘でも、ほんとのように思ってしまう人間はこわいなあ。みんなそういう目で、残された家族を見るなんて、かわいそすぎ2019/02/15

まーちゃん

77
ある主婦が殺された。遺族は彼女の喪失だけでなく、事件の報道によって繰り返し損なわれる。一方加害者の家族もまた、多くのものを失ってゆく。被害者の娘、刑事、新聞記者、加害者の妻等、様々な視点からの克明な描写は、読んでいて息が苦しくなるほどだが、それでも読むのを止められない。乃南さんの面目躍如だ。/被害者は命を奪われた上に、なぜ不特定多数の無関係な者たちにあらゆることを晒されねばならないのか、加害者の家族は加害者と同等に、時にそれ以上に非難罵倒排斥される。そしてそれは、じわじわと周囲へも拡がっていく。下巻へ。2016/01/15

Satomi

71
母が殺された…。普通の専業主婦だった母が事件に巻き込まれた…。いつものありきたりの日常が、突如として奪われる。被害者とその家族、加害者とその家族。ハイエナのように事件を食い尽くすマスコミ、近所の噂話、親戚関係の破綻。一つの事件から風紋は果てしなく大きくなる。事件の真相は!?!?下巻へ続く。2017/08/20

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