内容説明
高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
著者等紹介
湊かなえ[ミナトカナエ]
1973年広島県生まれ。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録したデビュー作『告白』は、「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞した。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
440
(再読)何気ない言葉、悪意のない行動。そういう無邪気さが時に人を追い詰める。カチッとスイッチが入る瞬間は突然だ。何故こんな事になったのか分からないまま、迎える重大な結末。誰もが羨むエリート一家。殺された父親、殺した母親、遺された子供達。「家族」という思い込みが邪魔をして、心の底にあるものに気付けない。だからこそ時に腹を割って話し合うことも必要なのだ。事件の真実を変え「生きる」事を選んだ決意。前に読んだ時は許せなかった結末がストンと落ちた。切羽詰まった人の心の機微が今なら分かる。私も年を取ったということか。2015/05/22
さてさて
413
たらればの人生の先に待っている未来を生々しく描き出したこの作品。起こった殺人そのものにではなく、一見どこにでもいそうな普通の家族が、その関係の中でのちょっとした気持ちのズレをきっかけに大きく壊れていく恐ろしさを感じさせるこの作品。湊さんの作品としては嫌ミスは抑えめ。どちらかと言うと光が差すのを感じる結末の一方で、順に視点の主が変わっていっても、感情移入できるような登場人物がいないというなんとも気持ちの持っていき場のないもやもやとした不快感が終始付き纏うこの作品。結末に書名の意味を感じ入るそんな作品でした。2022/02/17
再び読書
314
初湊氏で、流石に売れている作家共通の読みやすい文章だと感じました。ドラマは見ていませんが、ドラマ化しやすいストーリーだと思います。しかしながら、この人の心理のえぐり方に、少しぞくっとしました。楽しみではありませんが、気になる作家である事は間違いありません。少し、心の弱った自分にはこれくらいの些細な毒程度が、境界線かも知れません。最後まで何故彼が殺されたか、ぼくの中ではすっきりしませんでした。2015/08/29
kishikan
305
まず表紙の綺麗さに惹かれ、それにタイトルも素敵で、でも湊さんだから内容は多分などと思いながら読み始めると・・・・やはり。今回は家庭崩壊の話。殺人事件から物語はスタートし、事件の真相は?「キレる子どもが」と思いきや、謎は深まるばかり。事件の背景にある、子どもが背負う重荷、親の苦悩、近所づきあい、そして社会的地位や見栄。さまざまな視点を一章ごとに色々な家族の語りで描き出します。もちろん、それが各家族の目線から書かれていので、受け止め方の違いにイライラしたり、時には共感したりと。そこは、さすが湊さんでした。2013/06/21
hideko
254
登場人物、ゲスなヤツらばかり。 高級住宅街や有名私立高がなんぼのもんじゃい! 特に嫌いなヤツは彩花とラメポ。彩花の母親の真弓。1万円くらいで逃走資金になるかよ!彩花の父親・啓介。一家の長としてお前が逃げたらアカン! 高橋家の三兄弟は今後強く生きていけると思う。 2017/07/13