内容説明
駅でいきなり声をかけられ、それがきっかけで恋人になったタケルと千波。だが千波は、タケルをなかなか家族に紹介しない。その理由にタケルは深い衝撃を受けるが、ある決意を胸に抱いて一歩を踏みだした―表題作「優しい音楽」。つらい現実を受けとめながらも、希望を見出して歩んでゆく人々の姿が爽やかな感動を呼びおこす。優しさに満ち溢れた瀬尾ワールド全開の短編集。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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馨
357
短編集。3作品全て瀬尾ワールド全開でとても良かったです。どれもあり得ない話だけどほっこりあったかくて、理不尽な話のはずなのに不思議と瀬尾さんにかかると良い方向へ向かっていくストーリーが素晴らしいです。3作品全ての主人公たちがその後幸せな未来が待っていそうなこともわかります。2017/05/21
yoshida
340
気持ちがほぐれる作品を読みたい時、私は瀬尾まいこさんの作品を手に取る。読後感は暖かい。そして少し泣きそうになる。柔らかな物語の中に、重い事柄があるのだ。そこを乗り越える様を描く瀬尾まいこさんは、人の持つ柔らかな感情を描くのがとても巧みだと思うのだ。本作は3つの短編からなる。標題作の「優しい音楽」。千波がタケルに声をかけた理由。理由を知ってからのタケルの行動は本当に優しい。千波の両親も救われるのだ。「タイムラグ」でのおじいさんのサツキさんへの悲しい拒絶。「がらくた効果」での佐々木さんの旅立ち。満足の作品集。2017/06/13
HIRO1970
332
⭐️⭐️⭐️⭐️瀬尾さんは5冊目ですが、いつも安定した良著でここ数年驚きが続いています。本作は短編が3作品入ってますが、普通は考え付かない様な設定のお話に毎度ながら難なく見事に取り込まれてしまいました。(この辺が瀬尾さんのストーリーの凄いところだと思います。)表題作も含めて読者の倫理観や常識の境界線が如何に曖昧なものであるかを感じさせるお話でまさに瀬尾文学ならではの味のある作品でした。皆さんにもオススメします。2016/04/08
しんごろ
325
どの短編もありえない、許せないと思いつつも、結局、強引にほのぼのとさせられる。瀬尾まいこワールド炸裂の短編集でしたね。登場人物は状況に流されたり、人に合わせようとする登場人物ばかり。良く言えば優しい、悪く言えば優柔不断なのかな。いつか、うつ病みたくなるんではないかと、物語なのに真面目に心配しちゃいましたね。『タイムラグ』は馴染まなかったですが、『優しい音楽』、『がらくた効果』は良かったかな。それにしても佐々木さん、座敷童子でならぬ座敷親父だな。2018/09/26
Atsushi
230
三話からなる短編集。どの作品も優しさと温かさ満ちています。表題の「優しい音楽」の千波が恋人のタケルを家族に紹介することを渋る理由。とても切なく感動ものです。「タイムラグ」に登場する佐菜ちゃんがおじいちゃんに「お母さんを認めて欲しい」と訴える言葉の健気さ。元大学教授でありながらホームレスとなった佐々木さんが人生再生へと旅立つ「がらくた効果」、いすれも心打たれます。お薦めの一冊です。2017/04/08
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