内容説明
犯人=“バットマン”を名乗る手紙が、捜査本部に届き始めた。巻島史彦は捜査責任者としてニュース番組に定期的に出演し、犯人に「もっと話を聞かせて欲しい」と呼びかけ続ける。その殺人犯寄りの姿勢に、世間および警察内部からも非難の声が上がり、いつしか巻島は孤独な戦いを強いられていた―。犯人に“勝利宣言”するクライマックスは圧巻。「普段ミステリーや警察小説を読まない人をも虜にする」と絶賛された、世紀の快作。
著者等紹介
雫井脩介[シズクイシュウスケ]
1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年に第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作、『栄光一途』でデビュー。05年に『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんふぁん
270
2019年8月14日読了。再読ですが、こんな最後だったっけなぁー?忘れてました。何度読んでも植草を嵌める時はガッツポーズが出るものですねぇ。あと、津田長私の近くにもいて欲しい。津田長の一言一言が深いです。続編を早速読もうと思います。2019/08/14
れみ
201
テレビのニュース番組を利用した劇場型捜査、完結。掴みどころがないように見えるせいで周囲に敵を作りがちな巻島が、それでも津田とか本田とかちゃんとした部下に恵まれているところが良かった。あと小川くんがなんか憎めないキャラで好き。それにしても植草の行動が最悪すぎる。ああいうラストも自業自得かなー。数年振りに読んだら、たぶん最初のときよりも登場人物それぞれのことがよく分かって面白かった気がする。映画のDVD借りてきたのでこれも久しぶりに見るのが楽しみ(^^)2013/10/06
どんちん
194
きたきたぁ!ぐおぉって盛り上がってきたぞぉ!!え?孫が誘拐?そこでそんなイベント発生させちゃうんだ?!と思いっきりもりあがってきたのだが、2時間サスペンス的にあっさりとバッドマンがつかまりぃ、孫誘拐犯もおまえかぁ、ワシの結末もちょっとあっさりぃ、で、まぁ悪くはないのだが、なんだかちょっと終わりを急いだような気がしなくはない?と感じた。事件が事件だけに、エンディングはこれくらいでもいいといえばそうなのだが、これだけ盛り上がったのだから、逮捕のところでもう少し何かあってもw ってか、実バッドマンなんか貧弱ww2013/11/04
🅼🆈½ ユニス™
166
第7回 大藪春彦賞受賞作。全体的に暗い印象が伺えないサバサバしたミステリー小説。読み友さんの評価通り、テンポもよく歯切れのいい文章が臨場感を生んでいて面白い。様々な場面を通して彼の姿が多面的に描かれている。下巻の序盤は展開が若干冗長にも思えるくらいな感じだが…、巻島が信頼する人物とのやりとりには彼の微妙な心理、人情、反目する人物への抑え気味の感情など原則と筋を貫くひとりの男を知った事に対して読み応えじゅうぶんば一冊だった。シリーズ2も期待したい。2019/01/15
黒瀬 木綿希(ゆうき)
152
巻島は孤独に近い状況で戦っていた。犯人逮捕のために民衆を欺き、トラップまで用意したことで上っ面しか見ていない世間からバッシングまでされる始末。しかし刃は確実に犯人の喉元に迫っていたーー あっという間の上下巻でした。味方までもが敵になりつつある状況だったが、かつてのプッツン警視の姿はどこにも無く、惨い事件を扱ったとは思えないほど読後感が暖かいのは一人で戦っていたはずの巻島が家族と被害者遺族に支えられていたからだろうか。組織内部のゴタゴタとメディアの煩わしさまで描いて冗長にならずに畳む特筆すべき筆力にも注目。2021/03/25