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出版社内容情報
存在しないはずの本を買ってしまう「継ぎ穂」、空中散歩を楽しむ「21gの冒険」、異国のラジオが聴こえ始める「混信」、図書館の地下に迷い込む「地下図書館探検譚」。
日常から地続きの〈不思議な世界〉に読者をいざなう、極上のローファンタジー4編を収録。ネットやCOMITIAで大注目の才能による商業デビュー単行本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
53
絵と物語、両方の繊細さと不思議さ、すべてが琴線に触れる思いがした。店頭で見たカバーイラストに感じるものがあったが、裏表紙にあった4作品の紹介を読んで即購入。どの作品も自分の関心に最大限かかわると感じたが、期待に違わぬ読み応えで読了。21グラムとは魂の重さとされる数字だが、この冒険の終わり方には感心するしかなかった。それを絵に描けるなんて脱帽。ラジオの混信が意外な方向に向かっていく話の結末もいい。どの話も結末が予想できなかったのもよかった。自分が書きだしを与えられたとしても、このようには終われないだろう。2024/07/10
田氏
21
知っているけれど、知っている道理のない感覚を、この短編集は呼び起こす。知らないのに知っている、それは現実とか平常とかと名前をつけて囲っている世界に、その室外との空気や温度の交換として来訪する感覚である。境界上にまたがって交換を媒介する機関、すなわち物語には、便宜上その部分をそれぞれ室内機・室外機と名付けることもできよう。外、と名指すとどうも無限に開かれたものを想像してしまうが、感覚可能な世界としては、室外機の側も室内と同じく閉じた世界、「室外機室」と呼べるのではないか。球面上に設けられた囲みの内外の如く。2025/03/20
寿こと
21
表紙カバーの景色が気になって購入。「21gの冒険」という短編の景色なのですが、この話の躍動感は読んでいて凄かったです。目まぐるしく変わる景色を追っていくのは本当に冒険をしているようでした。とある理由で自由に空を飛んだり出来る様になった女の子が主人公なのですが、21gで気が付く人も多いのかな。他の短編では、今巻の四割くらいを占める地下図書館探検譚。短編でありながら、一つの映画を観たような気持になりました。2024/12/24
s_s
21
重すぎず軽すぎず、絶妙な軽やかさで、隣り合う非日常的な幻想世界へと誘ってくれる短編集。可愛らしい人物造形、緻密な背景描写、台詞の量や質までも、全てのクオリティが高い。またしても良い短編集を手に入れてしまった。。「序」の自然な導入から、「〆」のあっさり具合まで、喉に異物が引っかかるような不快感なしに読み切ることができた。中でも、『地下図書館探検譚』は群を抜いて好み。本編中で明かされていない、ひとつまみの謎が僅かに残っているからこそ、そこに読者の想像力が働くのかもしれない。もっとこの方の作品を読んでみたい。。2024/05/24
緋莢
18
あと少しというところで、トラブルによって止まってしまった列車。そんな時、利用可能なネットワークに 「shitsugaiki-shitsu」なる名称のものが出てくる。興味本位で繋げてみると、4編の漫画が表示されて…一番最初の「継ぎ穂」は、コミティアで見つけた『継ぎ穂』という漫画が、読むたびに内容が変わり、写真に撮っても消えてしまい…というもの。その他、27歳で死んでしまった女性が、幽霊になって自由に飛び回る「21gの冒険」、たまたまつけていたラジオから流れてくる謎めいた番組「混信」や(続く2024/12/16