出版社内容情報
王太子である異母兄に嫌われ、王宮を離れて修道院の司祭として働くラプラディア王国第一王女カミラ。ある日、自身を慕ってくれる異母妹に、婚約者として平民の少年騎士、ルクレツィオを紹介される。年も近く、お似合いで仲の良い様子の二人を祝福していたカミラだったが、父である国王が崩御し横暴な兄が即位した途端、異母妹とルクレツィオは婚約破棄させられる。挙句、カミラにはルクレツィオとの結婚の命令が下った。
カミラは、ルクレツィオは美しい妹ではなくて八つも年上の自分と結婚せざるを得ない上、自分が兄に嫌われているせいであたえられるはずだった爵位の格が落ちてしまったと気に病み、自然とルクレツィオとの距離が離れてしまう。ルクレツィオがあまり多くを語らないことや王族と平民の感覚の違いなどもあり、きちんとした交流もできないまま結婚生活もぎこちないものに。
白い結婚での離縁で彼を解放することを考えるカミラだったが、ルクレツィオが二年の遠征へ赴くこととなり、出発前夜二人は結ばれることになる。
そしてその一夜で、カミラは娘ディアドラを授かった。
懐妊をきっかけにルクレツィオとも手紙での交流ができ始めたカミラは、生まれた可愛い娘に夫の肖像画を見せて育て、幸せで満ち足りた日々を過ごす。そして、ディアドラのためにもルクレツィオと向き合いなおすことを決心して、彼の帰還を心待ちにしていた。
しかし、もう少しでルクレツィオが帰還するという日の夜、その大切な娘を狙う襲撃者が――――!?
ディアドラを守るため必死に抵抗したカミラは、身代わりとなって毒を受け、体が石化してしまう。
それでも、急いで駆けつけてくれたルクレツィオにディアドラを託し、カミラは娘を守れた安堵の中眠りにつく……。
……そして、カミラが目覚めたとき、すでに十五年の年月が経っていた。
目覚めた彼女を待っていたのは、年齢差が逆転した夫と美しい女性に育った娘だった。娘の口から語られる空白の日々、夫から寄せられる溺愛の感情。十五年が経過した感覚のないカミラは困惑しつつも、家族のそろった幸せな日々を噛みしめて――――!
これは時を超える夫婦と家族の、温かな愛の物語。
【目次】



