出版社内容情報
子どもと一緒に参加したかるた教室で、希海は初めてかるたの札を払う。空を切り裂くように飛んだ札。指先に満ちた新鮮なエネルギー……。その記憶が強く刻まれた希海だが、「もうすぐ40歳になる」「暗記力に自信がない」「子どもがいるから」など、気づけば自分に言い訳ばかりして、競技かるたを始めることにためらっていた。かたや夫は、仕事と趣味の優先順位をつけようとするのだった。果たして希海が選びとった道とは? 今、自分の〈好き〉を手放そうとしている人すべてに捧げる物語。『ちはやふる』漫画家、末次由紀さん推薦!
【目次】
内容説明
子どもと一緒に参加したかるた教室で、希海は初めてかるたの札を払う。空を切り裂くように飛んだ札。指先に満ちた新鮮なエネルギー。―もうすぐ四十歳になる。暗記力に自信がない。子どもがいるから。気づけば言い訳ばかりして、競技かるたを始めることにためらっている自分がいる。夫は、仕事と趣味の優先順位をつけようとする。けれど…。
著者等紹介
奥田亜希子[オクダアキコ]
1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。22年『求めよ、さらば』で第2回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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konoha
47
奥田さんの細やかなリアルさが全開。「ちはやふる」が大好きなので、かるたが題材なのがうれしい。息子の付き添いで競技かるたを始めた希海は次第に自分の趣味として熱中していく。子育てとの葛藤や夫との対立が丁寧に描かれ、妻、母が趣味を持つことの困難さについても考えさせられる。同じ立場の人ならより共感できそう。仕事や家庭から一転して喫茶たまさかの穏やかな空気感に癒される。ここまで熱中できるものを持てる希海が素直にうらやましい。最近の奥田さん作品の中でも会心の一作ではないだろうか。希海がかるたの札を払った時のように。2025/11/11
kei302
37
子育て世代が日々直面するモヤモヤがストレートに伝わってくる。仕事と家事と子育て、そこに趣味の時間を加える。 夫「ママに自由時間もあげてる」はあ? ですよ。でも、それが現実なのですよね。そんな環境の中でも挫けずに競技かるたを続けて、大会に挑む希海を応援しながら読んだ。ストーリーに絡めて百人一首の歌が取り上げられているのも素敵。特に、何度も出てくる序歌の美しさに触れるときの心情描写に胸を打たれた。とてもよい作品。多くの人に読んでもらいたい。NetGalleyJP 2025/10/22
桜もち 太郎
23
正直競技かるたには全く興味はなく、百人一首も「天の原 ふりさけ見れば・・」くらいしか知らない。40歳夫子持ちの希海は家族との狭間の中で競技かるたに心を奪われていく。題名の「今を春べと」とは、競技を始める前の「序歌」の一部だ。「私が今を春にする」なんだっていい、一つのことに集中しやりきることの美しさを感じる。彼女は家族と折り合いをつけながら競技に打ち込む。エピローグでは、突き抜けた希海の片鱗が語られるし、また息子の成長も見られて良かった。自分にとって「今を春べと」って何だろうと思ってしまった。2025/11/02
しゃお
15
まだ幼い息子をかかえる母親であり妻である希海。年齢や性別をこえて楽しめるのが競技かるただからこそ夢中になれるのかも。周りから見れば夫は優しく理解ある人。確かにそうなんだけれどそうじゃないと言葉にできないモヤモヤにも共感できるし、価値観を押し付けられる事の息苦しさに辛くもなります。でも、息子と共に感じた歌の意味、序歌の美しさ、自分なりの強さを得ていく希海の姿は、試合で相手の事をクソガキと素直に思える事も含め清々しい。また、かるたの試合の場面も臨場感ありました。著者の願いや夢が詰まったようなラストも〇でした。2025/11/09
toshi
12
百人一首は落語にある「ちはやふる~」しか知らないし、古典は大嫌いだったから、その辺りの話には着いて行けなかったけれど最後まで面白く読めた。 最初天才少年の成長物語かと思っていたら、母親の方の話だった。 冒頭の1ページと最後の部分は要らなかったかも。。 理屈で考えていくのは大好きだけど、記憶するのが苦手だから私には無理だな。。2025/11/05




