出版社内容情報
富生が故郷の館山を離れ上京してから20年以上が経った。母が亡くなってからほとんど帰省することがなくなった実家には、78歳の父が一人で暮らしている。その父の様子が最近おかしい。久しぶりに実家を訪ねた富生が目の当たりにしたのは、父の「老い」だった。不安に駆られた富生は父との同居を決めるが、東京には付き合って8年になる恋人がいて……。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
278
小野寺 史宜は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、タイトル通り、著者らしい作品でした。 彼女の転勤先が大宮なら結婚しても新幹線が使えるし、何とかなると思うのですが・・・ 結婚して孫が生まれれば、父親の認知症防止にもつながります。 https://www.futabasha.co.jp/book/978457524835700000002025/10/04
いつでも母さん
160
これはもう私が知ってる「丸ごと小野寺さん」だった。タイトルだけで胸が切ない。だが、今作は私にはちと物足りない(当方比)あるのは現実、ここに在るのは日常、ここから先が気になるのだ。わかるけど、彼女と別れるかぁ・・(←そこ?)お父さんの話、もっと聞かせてよ。そう、これは願望。私の中にももっと聞いておけば良かった後悔がある(でも話したがらない大正15年生まれだものなぁ)向かうのは老い。父と息子の関係に一つとして同じものはない。それぞれが心に思うだけでも色々あるよね・・2025/09/20
hiace9000
143
不惑の四十歳を迎えた主人公・那須野富生の、不惑ならざる日常のありのままを綴る。すっかりお馴染みの「小野寺一人称」は、フラットな視点で仕事、恋人、結婚、故郷、親の介護を優しく紡ぎ出す。今作は家族小説ならぬ"世代"小説か。『ひと』『まち』の青年主人公らも、やがて迎える壮年世代。追いゆく父と過ごす時間から見えてくる世界、背負うことになるしがらみ、委ねられる決断、知ろうとしなかった事実…。東京から故郷館山に居を移した富生は、そこで自分や家族、周囲への新たな"気づき"を得る。切なくもかけがえのない今がそこにあった。2025/09/12
あすなろ@no book, no life.
137
僕はここ数年想像する事がある。父親を早くに亡くし、その母が認知症な訳であるが、ではこれが逆だったらどうなんだろうと。この作品はそれに加え最近多い認知症と疑われる程度の親と子を取り扱っている。ここでのほぼあり得ない恵まれた環境でそれに胡座を掻いている主人公はさておき、考えさせてはくれる内容だと思う。但し、実際はちと違うのではないかという遊離感も僕は抱いた。2025/10/26
Karl Heintz Schneider
125
富生は東京のマンションを引き払い館山で独り暮らしの父親と同居することに。若い頃はわだかまりがあった父親と二人で暮らすうちに徐々に過去の誤解も溶けてゆく。小野寺さんらしいシンプルなタイトル、期待を裏切らない穏やかな日常。「ほんとに大事な人なら大事にしろよ。大事な人はほんとに大事だからな。大事な人を俺は大事にすることはできなかった。」主人公の父親がふと漏らした言葉に目頭が熱くなった。自分は父とは最後まで打ち解けられなかったから。直前に読んだ本に毒親がたくさん出てきたので癒された、平坦だけど安らかになれる一冊。2025/10/16




