出版社内容情報
地方都市・天島市で造船業を営んできた大家・扇谷家で2025年4月、予言者として一族を繁栄させてきたおばあさまの手帳が見つかった。手帳によると、おばあさまは100歳となる今年死亡するらしい。一族の皆が集まり、家じまいをすることになるのだが、本家の娘・立夏には気になることがあった。それは認知症になって以来、おばあさまが繰り返し「若い頃、桜の木の下に死体を埋めた」と言っていたことと、言葉なき者の声を聞く能力を持つ立夏は、それが本当だと知っていること――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
22
地方都市・天島市で造船業を営んできた扇谷家。予言者として一族を繁栄させてきたおばあさまの手帳が見つかる物語。手帳にはおばあさまは100歳となる今年亡くなることが書かれていて、それを疑わない一族の皆が集まって家じまいをする準備を始める中、本家の娘・立夏が気にするおばあさまが若い頃、桜の木の下に埋めたという死体と、彼女が知っている言葉なき者の声。時代も変わりつつある中で、扇谷家に生まれる女が超能力を持つことを理由に、結婚や生き方を制限された人たちのそれぞれの選択、そして呪いを巡る真相はなかなか面白かったです。2025/05/28
雪だるま
9
女性だけが不思議な力を持つ扇谷家。未来を視る事ができるおばあさまが認知症になり「桜の木の下に死体を埋めた」と何回も言うようになる。親族の誰も信じていないけれど「言葉なき者の声を聞く超能力」を持つ立夏だけは真実だと知っている。特殊な能力があるが故の苦悩や不自由さは女性だけでなく一族の男性もあるようだ。運命にはすっかり決まっているものとまだ揺れ動いているものがあるらしい。全てがすっかり決められているものだったら人生はつまらないですよね。最後の場面は美しくて良かったけれどその後の事が気になりました。2025/05/26
ゆり
9
超能力なんて非現実的なのに、実際にこういう一族がいるかもしれないという描写の数々がとても面白かったです。女に生まれると超能力のせいで一生後悔をし続けたり、男に生まれたとしても超能力を持った子供が生まれるかもしれないという不安があったり、超能力は厄介なものだと思う。生き方だったり、結婚相手も制限される扇谷家自体がすでに末代まで呪われているといっても過言ではないのかもしれない。扇谷家の人たちが自由で幸せになれますようにと願う気持ちになりました。 #NetGalleyJP2025/05/23
のぶのぶ
6
我家も本家の家で、親戚が広がっていった家。なので、帰省する思い出がない。家じまい、将来的にあるのかもしれない。我が子達に、がんばってもらうしかない。「長い時間をかけ、いくつかの世代にまたがって、ゆっくり少しずつ、別れ別れになっていく。そうやってわたしたちの絆は小さく遠ざかり、どこまでも大きく広がっていき、想像もつかないような未来で、また出会う。そんなことも、きっとあるのだろう。」我家も父母が亡くなり、従兄弟たちも我家に来ることも無くなるのだろう。不思議な力を持つ女性が生まれてくる。なかなか興味深い。2025/05/30
ぶんぶん
4
netgalleyにて読了。 実石沙枝子さんの作品を読むのは初めてかも。 予知能力…色々考えちゃいますね。2025/05/10
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- 和書
- 運命の衝撃 ハヤカワ文庫