出版社内容情報
平和な田舎町で仲の良い家族、友達、近所のひとたちに囲まれ、普通の生活を送っていた仁美。しかし、毎年恒例の秋祭りの日をきっかけにすべてが変わってしまう。何者かが祭りで振る舞われたおしるこに毒を入れ、多数の死者が出た。仁美の幼馴染みの修一郎と涼音も被害者遺族となる。事件の真相を知るべく、探り始めるが……。
内容説明
平和な田舎町で仲の良い家族や友達、近所のひとに囲まれて、高校生の仁美は普通の生活を送っていた。しかし毎年恒例の秋祭りの日をきっかけにすべてが変わってしまう。何者かが祭りで振る舞われたおしるこに毒を入れ、多数の死者が出る。仁美だけでなく幼馴染みの修一郎、涼音も家族を失うことに。「この町に犯人がいる」町民は互いを疑い始めるが―。予測できないラストに震撼するミステリー!
著者等紹介
美輪和音[ミワカズネ]
東京都生まれ。青山学院大学卒。2010年「強欲な羊」で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞し、小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
297
まだ記憶に新しい現実の毒物混入殺人事件をモデルにして書かれたと思われるとても重いミステリーです。住人が全員でも108人という田舎町の集落で行われた毎年恒例の秋祭りで何者かが、おしるこに農薬を混入させた事で知らずに食べた6人の内4人が亡くなってしまう残虐極まりない事件が起きる。ヒロインの仁美は母を亡くし幼馴染みの修一郎と涼音も家族を失ってしまい、この事件をきっかけに真犯人を突き止めようと考える町民達が暴走し容疑者を勝手に決めて責める内にまた新たな犠牲者が出るのだった。本書は約370頁以上の長さを感じました。2023/04/05
モルク
124
小さなのどかな田舎町での夏祭り。毎年ふるまわれる恒例の手作りのおしるこの中に農薬が入れられ高校生仁美の母や幼い子ら数人が亡くなる。祭りの参加者の中に犯人が、しかし捜査は難航し町内会で犯人捜しが始まる。怪しいとみるや集団で責め立て追い詰める。同調圧力というものの凄まじさは狂気さえ感じられる。閉鎖的な小さな町では逃げ場もなく過去の事件やあれもこれもいっしょくたに疑いの目を向けられる。さらに寄ってたかる報道陣、あるあるなのが怖い。2023/10/15
タイ子
109
本作は誰が読んでも和歌山毒物カレー事件騒動を思い出すだろう。田舎町のお祭りでおしるこの中に毒物が入れられ4人が死亡した。当然世間は大騒ぎ、何より町民が疑心暗鬼に陥る。高1の仁美の母親が作ったおしるこで母親も死亡。仁美の幼馴染み涼音、修一郎の淡い初恋と裏腹に事件は変容していく。1人をあげつらうとみんながこぞってそちらに向き、また違う人を犯人扱いするとまたそちらに敵意が向いていく。事件に囚われ、人の心に囚われる怖さ。米国の監獄実験に触れながら団体心理を突いていくげに恐ろしきなり人間真理。事件の真相に驚愕。2023/04/02
fwhd8325
89
少々手こずりました。何だかつかみ所のない展開に感じた前半でしたが、後半になり、展開が掴みやすくなりましたが、それも終盤で息切れしたように感じました。2023/11/02
nobby
87
とにかく集団心理の矛先の恐怖を感じられる作品。小さな村の祭りで起きた毒入り“おしるこ”殺人。ムラの実力者を中心とした団結が「看守」として、疎まれ退けられる人達を次々に「囚人」として追い込む。そこでは正論や真理まで度外視される...その対となる2つのワードを章立てにして、探る立場から一転責められる側に陥る展開を一気に読める。ただ...警察の不甲斐なさとか、あまりに理不尽に疑われる面々への違和感は否めない。ラストにはドキドキだが、10年経っての判明は無理がある...まずは一緒にいてくれる存在があることに安堵。2025/01/21