出版社内容情報
ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。
内容説明
外回り中の大帝ハウス大善支社営業部長・山縣泰介のもとに、支社長から緊急の電話が入った。「とにかくすぐ戻れ。絶対に裏口から」どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。Twitterで犯行を自慢していたそうだが、そのアカウントが泰介のものであると誤認されてしまったようだ。誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していたが、当該アカウントは実に巧妙で、見れば見るほど泰介のものとしか思えず、誰一人として無実を信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも…。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられる中、泰介は必死の逃亡を続ける。
著者等紹介
浅倉秋成[アサクラアキナリ]
1989年生まれ。2012年に『ノワール・レヴナント』で第十三回講談社BOX新人賞Powersを受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
674
冒頭からある投稿が炎上し、身に覚えのない殺人の疑いをかけられたあげく逃亡する主人公が憐れみを誘う。主人公と同じく俺もツイッターなんてさわった事すらないし自分とは無縁の物だと思っていたが、恐ろしい物なんだなあ。兎に角、主人公の逃亡劇がスリリングで面白かったのだが、後半、読者を騙す記述のあまりのアンフェアぶりに大混乱させられよくわからんまま終わってしまった。何なんこれ。不快であり怒りすら覚えた。あの記述は、要らなかったなあ。2023/02/06
bunmei
636
前作では大学生の就活を、今回はSNSを介してのサスペンスをテーマにと、若い感性でネットの罠から逃亡者となった男の緊迫感のある心理状況を描いている。また、逃亡者となった男の様な世の上に立つ世代の人と、ネット社会で育った若き世代の人との互いの視点や考え方のギャップを対比して、練り込んでる展開も面白い。SNSで一夜にして殺人犯に仕立てられた男が、逃亡劇繰り広げる中、見えない真犯人への怒りから、立ち向かっていく決意をする。しかし、周囲からの予想もしなかった蔑みにより、真相に辿り着く前に、男は窮地に陥っていく。 2022/06/07
うっちー
574
一気読みしましたが、一気読みしてはいけません2022/06/15
美紀ちゃん
496
逃げる?警察へ行く?どうする?人から殺人犯扱いされるのは恐ろしい。と思ったが、この本の面白さはそこではなく、誰が犯人なのか?ということ。あれ?と、途中からあやしい人が出てくる。「六人の」も人間の表面に出てこない毒のようなものが上手く描かれていたが、この本もすごい!人のよくない部分が積み重なり、こんな事件に発展した様子が、じんわりとにじみ出てくる感じ。驚きの展開。想像できない結末。奥さんが犯人?と思ってしまった。 騙された。伏線の回収がお見事で震えた。 面白かった。これからも浅倉さんの作品に注目したい。2022/07/09
ウッディ
454
身に覚えのない自分のSNSにアップされた女性の殺害写真から、ネット上で殺人犯に仕立て上げられたサラリーマン、住所も顔もネットに曝され、警察と市民から追われる立場になった彼を陥れた犯人とは?ネット住民の無責任な発言に怒りを覚えつつも、数の力でデマを真実のように見せてしまう怖さも感じました。追い詰められた人間の逃亡劇にハラハラし、時間軸をずらす叙述トリックも巧みで、面白く読みましたが、最初から素直に警察に助けを求めていればと思わずにいられなかった。2023/02/08