出版社内容情報
明治十六年(1883年)。葛野を出て実に43年、甚夜はついに行方知れずとなっていた鈴音と対峙することになった。鬼神へと至ろうとする妹との再会は、甚夜だけでなく彼の周りの人々の運命をも大きく変えることになる。人よ、何故刀を振るう――平成までの長い旅路の折り返し地点で、甚夜が出した答えとは。大人気和風ファンタジー巨編、衝撃の第七巻。
内容説明
葛野を出て実に43年、甚夜はついに行方知れずとなっていた妹と対峙することになった―。斬るべきか、許すべきか。鬼人が辿り着いたその答えとは?和風ファンタジーシリーズ第七巻!
著者等紹介
中西モトオ[ナカニシモトオ]
WEBで発表していた小説シリーズ『鬼人幻燈抄』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
116
葛野を出て43年。鬼である甚夜の風貌はそのときのまま、娘の野茉莉ももう二十歳。親子を名乗るには少々きつく野茉莉を嫁がせることも気になる甚夜。そんなときに甚夜はついに行方知れずとなっていたマガツメとなった妹鈴音と対峙することに。鬼神へ至ろうとする鈴音との再会は、甚夜の周りの人々の運命も大きく変える。大事な友秋津染吾郎との別れ、愛しき者の記憶を失い別離を決意せねばならない怒涛の時を迎える。一人になった甚夜は表紙絵の後ろ姿に悲しみが滲む。明治編が完結、次作はいよいよ大正へ。2021/08/22
mayu
71
シリーズ7作目。ついに甚夜、マガツメと対峙する。私だけを見てほしい。願いは叶わず、いつしか強い気持ちは憎しみに変わる。失いたくなかった過去と大切にしたい現在、どちらを選ぶのか。苦渋の末に選択したものは守れず、どちらも手の中からこぼれ落ちていく。信頼を寄せ笑みを交わした友との別れ。誰よりも愛おしく慈しんでいた娘との別れ。人と鬼とに流れる時間は違い、いつか訪れるものだとはわかっていても、こんなさよならは予想していなかった。全てが終わった後の表紙の背中が悲しい。弱さをさらけ出する場所があったことが唯一の救いか。2022/11/21
えみ
68
歩めば失い、選べば傷つけ、守れば手放す。待ってはくれない時の流れと鬼人に深く刻まれた果てない使命。何処までも残酷だ。しかしそこには決して消え去りはしない想いがあった。積み重ねた熱い記憶があった。別れのない出会いはあろうはずがない。別れの時の悲しみ。その深さの分だけ共に過ごした日々が何よりも大切で何者にも侵されない、かけがえのない思い出がしかと残る。この先その思い出は力だけではない強さとなって彼の助けとなるのだろう。遂に甚夜は始まりであり終わりを創った妹・鈴音と対峙する。歪んだ愛の叫びに震える明治編最終章。2021/06/28
y--75
40
甚夜が色々なものを失い、打ちのめされる話。悲劇であり、辛い話である事には違いないのだが、最後の方を読むと希望が残っているようにも思える。2021/06/20
starly
39
後半につれ、どんどん辛くなる。変わるものと変わらないものというフレーズが何回かある。【手を繋いだ。けれど大切なものを守りたくて刀を手にしたことで、握れる手は一つになった。】このセリフあたりから、選択をしなくてはならなくなる。妹と対峙の場面が辛くなるかと思ったが違う場面で辛くなり、涙が出た。忘れるのは恐怖でも不安でもあり様々な感情になる。表紙と物語は関係していて最初はどの場面か分からないがその場面の話しになるとピンっと意味が分かる2021/07/10