出版社内容情報
文久二年(1862年)。酒を巡る騒動から6年、江戸は仄暗い不安に揺れていた。討幕の動きが日に日に強まるなか、甚夜は妖刀を巡る事件をきっかけに、幕府に忠義を捧げる会津藩士・畠山泰秀と出会う。泰秀は幕府存続という目的のため、鬼を使役する武士だった……。大人気和風ファンタジーシリーズの第四巻。武士と鬼――滅びゆく者たちの美学を描く幕末の物語。
内容説明
幕末の動乱のなか、甚夜はとある鬼と出会い家族を得ることになる。千年を生きる鬼たちにも忘れられない光景がある。
著者等紹介
中西モトオ[ナカニシモトオ]
WEBで発表していた小説シリーズ『鬼人幻燈抄』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
106
シリーズ第4弾、時は幕末。寿命が長い鬼は時がゆっくりと流れ甚夜と蕎麦屋のおふうを除くまわりの者は年老いていく。別れと新たな出会い。赤子を託された甚夜が父としての顔を見せ、今までにはない新鮮さが。幕末の混沌とした時代に鬼を利用する者、それに敢えて乗る鬼。不器用でまっすぐな鬼土浦が哀れである。正体を見られ江戸を去る甚夜。今後明治ではどのように生きていくのか、そして妹との再会、対決は…。もういいかなと思いながらもやっぱり予約してしまった。2020/11/29
よこたん
64
“何かを失うことは悲しい。しかし同じように悲しいと思ってくれる誰かがいるのは、この上ない幸福なのかもしれない。だからきっと、いずれ別れが来ると知りながら、人と繋がっていたいと願ってしまうのだろう。” シリーズ第4巻。もし、孤独に生きる鬼であれば、こんな悲しい思いに打ちのめされ、自らのあるべき姿に悩むことはなかっただろう。不思議な縁で手繰り寄せられる人達との繫がりは、時に厄介なものでもあるが、それ以上に心を温められる。鬼よりも人の寿命はずっと短い。この先も訪れる別れを思うと、辛くて仕方ないのだけれど、読む。2020/09/17
y--75
54
江戸時代はこれで終わり。剣に人生を捧げた杉野又六と岡田貴一、どうして差がついたのか…(以下略)。人間よりも遥かに長命であるが故の鬼としての甚夜の切なさが描かれる。後半での店主のセリフにはくるものがある。また、これまでにない死闘も描かれる。見所が多く、結構濃い。2020/06/21
はにこ
53
酒騒動で落ち込む甚夜を支えてきた嘉兵衛。しかし、その平穏は長く続かない。娘を得ておふうと夫婦になったらどんなに良かったか。せめて3人で並ぶ姿をを見せられたのがせめてもの孝行になった。おふうを残して京都に向かう。直次も鬼と認めながらも向かうが次は京都でどうなるだろうか。2023/09/14
るぴん
45
シリーズ4作目。幕末編。表紙の幸せそうな家族に顔が綻ぶも、長い時を生きる鬼には時の移り変わりは残酷なもの。黒船、倒幕、新撰組、薩長同盟と世の中がきな臭くなってゆく中、悲しい別れと新しい出会いが…。おふうの決断は意外だった。ちょくちょく挿入される現代パートがあまり好きではなかったけれど、今回のはびっくり‼︎まさかあの鬼が現代であんな職業に就いているとは…!どんな心境の変化があったのか、知りたい。2020/11/09