赤い白球

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  • サイズ B6判/ページ数 371p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575241846
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

1939年日韓併合時代の夏、平壌一中の吉永と朴は二遊間でコンビを組んで甲子園を目指していた。やがて二人の球児は戦火に巻き込まれ、吉永は陸軍士官に、朴は少年飛行兵への道を選ぶ。白球と特攻――2人の運命は交差し、国境を越えた熱き友情の物語が始まる。

内容説明

1939年、日韓併合時代の夏、平壌一中の一番セカンド・朴龍雅と二番ショート・吉永龍弘の名コンビは甲子園出場を目指し、野球に夢中だった。二人はその後、軍人の道を歩み、朴は少年飛行兵となり、吉永は陸軍予科士官学校に進学する。そして戦況はますます悪化し、いつしか朴は東南アジアの撃墜王となり、朝鮮の英雄と呼ばれるようになる。懐には幼き頃に吉永からもらった血塗れの白球があり、それが朴の心の支えだった。一方、少尉となった吉永はマニラに赴任。戦況を打破するための「特攻作戦」に関わることになり、再び二人の運命は交錯する―。

著者等紹介

神家正成[カミヤマサナリ]
1969年生まれ。愛知県春日井市出身。陸上自衛隊に勤務し、依願退職したのちに韓国留学。第13回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、2015年に『深山の桜』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

197
8月、間もなく夏の甲子園が始まる今、この本と出会ったのは必然なのだろうか。何度も胸が痛みで押しつぶされそうな読書だった。苦しくても背けられない。ページをめくる手は止まらない。「最後まで読みなさい!」と言われているようだった。誰の立場になっても辛い・・野球を通して国境を超える熱い友情に、あゝ、そうだね。友情としか言えないよね。今、甲子園球児を無条件に応援できる幸せを嚙み締める。「愛する者のために死にたい」参ったなぁ・・これは沢山の方に読んでいただきたいと切に望む。2019/08/02

ずっきん

109
【年間ベスト入り】軍事小説でもお涙頂戴でもない。1939年の平城で甲子園を目指した朝鮮人と日本人の少年。世界の理不尽の中できりもみさせられていく双龍の熱く、悲しく、なによりも愛に満ちた魂の物語である。空中戦で図らずも高揚してしまうのは、臨場感にあふれ俯瞰を許さないその筆のせいだ。切り詰め、選び抜いた言葉で綴る情景描写が素晴らしい。そこへ隠された語られないものに鷲掴みにされ、揺さぶられ朦朧とする。クライマックスは幾度も訪れる。読んで欲しい。このバトンを誰かに渡したい。この物語の中にあなたは何を見るだろうか。2019/07/07

モルク

107
朝鮮を併合していた時代の平城中学で甲子園をめざしていた日本人の龍弘と朝鮮人の龍雅。ついに勝ち抜き本土の甲子園出場を果す。台湾の中学が出場したのは本や映画で知っていたが、朝鮮や満州のチームも出場していたことを知る。そして龍弘は陸軍予科士官学校、龍雅は陸軍航空学校へと進み、共に憧れだった飛行士をめざす。しかし戦況は悪化、二人は南方にて再会を果すが…凄まじい南方戦の様子が生々しく涙溢れる。無能な上官と情況を認めようとしない上層部。犠牲となるのは駒としか扱われない兵士と背後の国民である。→2019/12/20

🅼🆈½ ユニス™

100
言葉で言い表せない最高傑作。言いたいことはいっぱいあるが、"国民が国を護る為に血を流す覚悟をしなければならない"、 "国民の生活が大事なんて政治は間違っていると思う" 、"国民主権、基本的人権、平和主義を憲法から無くさなくては!" など今の時代に平気で言える政治家がいれば、この発言に拍手を送る人もいる。ドざけるな!とブン殴ってやりたい。決して戦争は美化されるべきものではなくあってもならない!私の感性のツボにハマる血が騒ぐ見事な一冊。紹介してくれた読み友さんに感謝❗️★5❗️2019/12/17

buchipanda3

91
あの場面、一瞬でそのことを理解させられた時、様々な感情が呼び起こされて思わず声が出た。読む手が震えた。色んな言葉が甦ってくる。「ありがとう。あの日、俺に白球を投げてくれて」「お前、飛行機は好きか」「しゃあんめい」「お前は生きろ」・・。戦争は理不尽の塊だ。その理不尽は悲劇ばかりを生む。そして死にゆく者が見送る者に託す言葉に何度も得も言えぬ感情に囚われた。そんな中、白球を追い、憧れた飛行機で人の命に関わった龍の名を持つ二人が各々の葛藤を感じながらも、ただその想いを胸に必死で誠実に生きた姿が心に大きく残った。2019/07/17

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