出版社内容情報
雀野 日名子[スズメノ ヒナコ]
著・文・その他
内容説明
福祉団地内の「死」と3人の人物がとった行動の、予想だにしない因果とは―!?視界がぐらりと揺らぐような、衝撃のラスト。やるせなさと一筋の希望が胸に宿る、長編ミステリー!
著者等紹介
雀野日名子[スズメノヒナコ]
大阪外国語大学卒業。2006年ジャイブ小説大賞入選、07年「あちん」で第2回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、08年に同作でデビュー。同年「トンコ」で第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
142
やられました!疲れました!いろんなこと絡めて絡めて、すぐそこに有る『社会の闇』ヤダヤダ~怖いわぁと引き込まれて・・えー!最後の種明かしはなんともなことだった。先入観の恐ろしさ。ちょっとの誤解。行政システムの穴あき。母は強しだが、結局これで誰が救われたのだろう。依子家族と賢太郎一家は落ち着いただろうが、スッキリはしないな私。あの手紙はあのままゴミ箱なのかと思うと、やるせなさが半端ない。誰が噂の元に、あの姑に、介護退職で親を看る立場に、ネットの掲示板の書き込みをする輩にならないと言い切れるだろうか!2016/03/20
ゆにこ
78
初読みの作家さん。面白かった。ママ友カースト、嫁姑関係や生活保護の不正受給、ワーキングプア、現代社会の問題がこれでもかと詰まっている。ネット社会の恐ろしさも感じた。2016/04/30
Ikutan
77
生活保護不正受給、年金制度、ニートや介護問題など現代社会の負の部分がこれでもか、これでもかと畳み掛けられてきてずっしり重い気持ちになりますね。何でそんな風に決めつけるの?と疑心暗鬼になりながらも、現実見聞きしていることとリンクしているのでリアル感が半端ない。ネットの掲示板を介して広がっていく匿名の歪んだ正義感も恐ろしい。モヤモヤは最後に意外な真相として明らかになりますが、手紙での独白という形はどっと疲れちゃいました。2016/05/22
ゆみねこ
72
うーん、月初めの1冊には今一つの読後感。生保の不正受給・介護・ママ友カースト・リストラ・引きこもり・年金未納。これでもか、とばかりに重たい話題。我が子可愛さで突っ走った母親、ホントに何にも見えていないのか?モヤモヤ・・・。2016/06/01
のぶ
70
団地の一室で、高齢女性と中年男性の死体が見つかるところから物語は始まる。その後描かれるのは、生活保護の不正受給と掲示板での個人攻撃。とても生活臭を感じてこれらが身近なものに思え、それが作者の意図だとしたら、成功しているのだろうが、不正受給の実態がリアルで読んでいて腹が立ってくる。その後真相が徐々に明らかになってくるのだが、個人的な感想として、これはイヤミスだと思った。2016/04/19