内容説明
「平将門が生きて甲斐国に出現」坂東の地に独立国の野望を掲げ、国中を揺るがした承平・天慶の乱。940年、将門は道半ばにして戦場に散ったはずであった。まさかの報せにおののいた朝廷は、幻影を断ち切らんとばかりに当代随一の陰陽師、不死身の僧兵など、強力な追っ手を次々と差し向ける。民に慕われたという猛将は、夢破れて、いったいどこへ向かうというのか?壮大なスケールで描く、歴史伝奇ロマン。
著者等紹介
三雲岳斗[ミクモガクト]
1970年大分県生まれ。上智大学外国語学部卒業後、会社勤務を経て、98年『コールド・ゲヘナ』で第5回電撃ゲーム大賞銀賞を受賞し、デビュー。99年『M.G.H.』で第1回日本SF新人賞を受賞。00年には『アース・リバース』で第5回スニーカー大賞特別賞を受賞した。ライトノベル、ミステリーなど、以後も多彩なジャンルで作品を発表、支持を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫
2
平安伝奇活劇。主人公「まつろわぬ者の王」こと鬼王丸は戦場で敗死したはずの平将門。全てを失い、甲斐から信濃、能登を目指して逃避行を続ける彼の一行に向けて朝廷から追っ手がかかる。仇敵平貞盛をはじめ、陰陽師の賀茂保憲、甲賀忍者、比叡山の僧兵軍団と追っ手は多彩ながら、これが一枚岩ではなく、互いに利用しつつ出し抜こうとする面子ばかりなんだから仁義なき潰し合いが展開されることに。題材や設定にはとても魅力があるものの、それぞれの人物描写だったり行動目的だったりが釈然とせず、全体に消化不良の感が残念であります。星3つ。2019/03/06
たこやき
2
乱平定後にも生き残る平将門と、それを追う者たちが、甲斐~信濃で激突していき、その中で、人々に慕われ、人々を奮い立たせる将門の人となりが描かれていく。その辺りは、ある意味、少年漫画のようなノリ。現実と非現実の境界線上を彷徨うような戦いなども面白いが、最初から最後まで、そのような戦いの連続で、ややメリハリには欠けるような気がする。2009/08/20
tenma
1
将門に纏わる伝奇。三雲岳斗が描く「忍法帳」といった趣。▼将門というと「風と雲と虹と」の印象が強く、純友との関係が思い浮かぶが、三雲が書くと、渤海と能登の話に加え、陰陽師、怪僧、不死者や忍者の先祖などが登場する。どんな展開になるか心配してしまうが、上手く纏まっていて違和感がない。ただ違和感がないのがちょっと変。▼特異な技を持つ登場人物たちの個性が際立っていない。人数が多く、尺が足らない。そのため、設定も展開も悪くないのに夢中になれなかった。桔梗姫、滝夜叉姫など伝説的な人物を配しながら、活かしきれず勿体ない。2013/06/27
まつじん
1
”カーマロカ”とはキリスト教やユダヤ教での煉獄、ギリシャでの地獄を指す言葉のようですが、この小説は「将門異聞」の副題がある通り日本の平安時代が舞台です。 将門は関東での反乱後生き延びて大陸へ渡った、というのがこの小説のあらましですが、えらく格好良いです。襲い来る朝廷の刺客たち、陰陽師や密教の使い手はまさに地獄の使者といった面持でしょうか。しかし不思議と時代小説を読んでいる気がしません。異形の者たちの戦いはまさにファンタジーですな。 2009/05/13
Mu@仔羊堂
1
ラノベ作家三雲さんの、でもこれはラノベではない歴史物。いや、妖術とか陰陽師とかとんでもないのはいろいろ出てくるんだけど、伝奇ロマンとしてはいい味を出している。ちょっと登場人物たちが多くて散漫になった気がするけど、結末も読者の事態を裏切らなくていいんじゃないかな。面白かった。2010/04/30
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