内容説明
鼈甲を思わせる深い鳶色の膚と炎燃え立つ赤い髪―斑鳩の里、“ぬばたまの館”の若き主であり次期天皇と噂される父を持つ蜂子は、その異貌のためにひっそりと時を過ごしていた。かたや桜の薄桃の花びらの如く優しく儚い容貌を持つ厩戸皇子は、救世観音の化身として、飛鳥の京で華やかな世界の中心にあった。蘇我馬子と物部守屋の政略の渦の中で、二人の皇子はたがいに激しい憧憬を抱いていった…。生と死の交錯の果てにたどりつくのは。
鼈甲を思わせる深い鳶色の膚と炎燃え立つ赤い髪―斑鳩の里、“ぬばたまの館”の若き主であり次期天皇と噂される父を持つ蜂子は、その異貌のためにひっそりと時を過ごしていた。かたや桜の薄桃の花びらの如く優しく儚い容貌を持つ厩戸皇子は、救世観音の化身として、飛鳥の京で華やかな世界の中心にあった。蘇我馬子と物部守屋の政略の渦の中で、二人の皇子はたがいに激しい憧憬を抱いていった…。生と死の交錯の果てにたどりつくのは。