内容説明
「リーチです!」一つの賭けだった。(オリてくるだろう…)それを願った。誰かが危険牌を引いてくることなく、テンパイを守り切れるようなら、彩子の負けだ。ツモ切りしかない彩子に、放銃の可能性が強くなる。しかし、オリてくる可能性のほうがより高い、と彩子は見た。仲間うちで楽しんでいる巷の麻雀では、こんなときでもどんどん強気に打ってくる者がいる。ここのメンバーは違う―。彼女はそう考えていた。ヨミは当たった。3人とも、たとえ千点でも、打ち込めばそれですべてを失ってしまうのだ。それぞれを警戒しながらオリていく。流局だった。彩子はリーチ棒を出したかわりに3千点が入り、3人が千点ずつを失った。―実在の人物が多勢登場し、くりひろげる白熱のシーン。読者は己れが気づかぬうちに強くなっている。“小説・Aクラス麻雀入門”。