PHP文芸文庫<br> ぬくもり―“動物”時代小説傑作選

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ぬくもり―“動物”時代小説傑作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 352p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784569902548
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

出版社内容情報

江戸の“かわいい”が大集合!
事件にかかわる鳩、禅寺で暮らす犬……動物たちとの温かくも切ない関係を描く傑作アンソロジー。
●「迷い鳩」(宮部みゆき)
人には見えないものが見えるようになった娘・お初。道で出会ったろうそく屋の女将に不穏な幻を見たお初が、出奔した女中の一人が可愛がっていた鳩をきっかけに、事件の真相を解き明かす。
●「色男、来たる」(田牧大和)
鯖縞模様の三毛猫〝サバ〟が暮らす鯖猫長屋は、新たな店子が入らず、取り壊しの危機に陥った。そんな長屋のために、サバが飼い主の拾楽とともにひと肌脱ぐが……。
●「犬に仏」(小松エメル)
動物の言葉がわかる修行僧の少年・諒斎と、子犬のころに家族と死に別れて諒斎に拾われた犬・次郎。一人と一匹は、「犬は仏性を有するか、否か」という禅の公案に挑む。
●「カチカチ山」(櫻部由美子)
鳥や獣の言葉を聞くことができる〈頭巾持ち〉の家系に生まれた少年・乙吉。山深い里で母親と二人で暮らしていたが、ある日、江戸の凶賊がこのあたりに逃げ込んだかもしれないという噂をカケスから聞き、庄屋に伝えるが……。
●「紅蓮白峯」(西條奈加)
あやかしを引き寄せる体質の持ち主である雨月は、兎のあやかしと出会う。彼らの前に「身内に殺められた」という怨霊が現れ、雨月は友人の秋成と兎とともに、怨霊が口にした白峯屋を訪ねる。

内容説明

人気女性時代作家が贈る、さまざまな動物と人間との交流を描いたアンソロジー。出奔した女中が可愛がっていた鳩をきっかけに、事件が解き明かされる「迷い鳩」(宮部みゆき)、新たな店子が入らず、取り壊しの危機に陥った長屋のために三毛猫“サバ”がひと肌脱ぐ「色男、来たる」(田牧大和)、動物の言葉がわかる修行僧の少年と、彼に拾われた犬が禅の公案に挑む「犬に仏」(小松エメル)など、珠玉の五編を収録。

著者等紹介

宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年、東京都生まれ。87年、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。92年、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、93年、『火車』で山本周五郎賞、99年、『理由』で直木賞、2002年、『模倣犯』で司馬遼太郎賞、07年、『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞

田牧大和[タマキヤマト]
東京都生まれ。2007年、「色には出でじ、風の牽牛」(刊行時に『花合せ』に改題)で小説現代長編新人賞を受賞してデビュー

小松エメル[コマツエメル]
1984年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。2008年、『一鬼夜行』でジャイブ小説大賞を受賞してデビュー

櫻部由美子[サクラベユミコ]
大阪府生まれ。2015年、「シンデレラ異聞小さなガラスの靴」(刊行時に『シンデレラの告白』に改題)で角川春樹小説賞を受賞してデビュー

西條奈加[サイジョウナカ]
北海道生まれ。2005年、『金春屋ゴメス』で日本ファンタジーノベル大賞、12年、『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、15年、『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞、21年、『心淋し川』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆみねこ

80
動物がテーマの時代小説アンソロジー。田牧大和さん「色男、来たる」西條奈加さん「紅蓮白峯」は既読だが面白く満足。櫻部由美子さんは初読み、「カチカチ山」最高の面白さ!小松エメルさん「犬に仏」も良かった。宮部みゆきさん「迷い鳩」、どこかで読んだ記憶はあるけれど記録していなかったらしい。5編とも良くて大満足の1冊。2023/04/13

shincha

60
5人の作家の時代小説アンソロジー。どれも動物がキーになる作品。宮部みゆき、西條奈加以外の3人は、読んだことのない作家さんだが、面白くて一気読み。それぞれ、鳩、猫、犬、狸、そして兎が出てくる。人間の言葉を話したり、動物と話ができる能力のある子供が出てきたり、ドキドキワクワクとゾワゾワと色々な感情を堪能できるが、最後は「ぬくもり」を感じることができた。偶然、書店で見かけ手に取った本書。小生の勘も大したもんだ!時代小説傑作シリーズとして出ていることを知り、まんまと編集者の思惑にはまり、読んでみようと思った。2023/01/19

ひさか

57
別冊歴史読本1991年8月特別増刊号宮部みゆき:迷い鳩、文蔵 2016年9,10月号田牧大和:色男,来たる、書き下ろし小松エメル:犬に仏、櫻部由美子:カチカチ山、小説BOC創刊号(2016年春号)西條奈加:紅蓮白鳳、の鳩、猫、犬、狸、兎が登場する5つの短編アンソロジーを2022年11月PHP文芸文庫から刊行。シリーズ12作目。霊験お初の世界の最初を語る宮部さんの話が楽しかった。他の方々のお話はいずれも掴みどころの難しいもので、あまり楽しめませんでした。2022/12/18

kagetrasama-aoi(葵・橘)

42
「時代小説傑作選・ぬくもり」女性作家による時代小説選〈動物〉がテーマです。五編のうち宮部みゆき氏の一編のみ既読。田牧大和氏の一編は「鯖猫長屋ふしぎ草紙」から。このシリーズ是非読まなくては!と決意を新たにしました(o^O^o)。西條奈加氏の「雨上がり月霞む夜」は「雨月物語」を新解釈でとらえたお話とのこと、好みです、是非読まなくては!櫻部由美子氏、初読みの作家さん、書き下ろしの一編です。お伽噺を下敷きにした心温まるお話でした。他の作品をも読んでみたいです。今巻も読みたい本が増えた嬉しいアンソロジーでした。2023/09/19

baba

42
鳩が事件のカギを握る、宮部みゆき「迷い鳩」相変わらず鯔背でかっこが良い鯖猫、田牧大和「色男、来る」不思議なうさぎが取り持つ縁、西條奈加「上曲がり月霞む夜」は既読でしたが楽しめました。小松エメル、櫻部由美子は、初めて、アンソロジーは、読んだことが無い作家に巡り合えて幸せ。2023/01/21

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