出版社内容情報
エル・マクニコル[エルマクニコル]
著・文・その他
櫛田 理絵[クシダ リエ]
翻訳
内容説明
昔、「人とちがう」というだけで処刑された人たちがいた―魔女裁判の話を聞いたアディは、慰霊碑を作ることを提案するが…。自閉の少女の葛藤と成長を描いた感動作。ウォーターストーンズ児童文学賞、ブルーピーター・ブック賞、シュナイダー・ファミリーブック賞オナー受賞作。
著者等紹介
マクニコル,エル[マクニコル,エル] [McNicoll,Elle]
スコットランド生まれの児童文学作家。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで創作を学んだのち、書店員、バーテンダー、ブロガーなどさまざまな職業を経て作家に。自閉スペクトラムなど、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)をテーマにした作品を次々に発表。その最初の作品である本書で、ウォーターストーンズ児童文学賞、ブルーピーター・ブック賞をはじめとする数々の賞を受賞。十か国語以上に翻訳されるなど世界中で高い評価を受ける。自身も自閉スペクトラムと診断されたニューロダイバージェント。ロンドン在住
櫛田理絵[クシダリエ]
滋賀県生まれ。早稲田大学法学部卒業。鉄道会社勤務を経て翻訳を学ぶ。訳書に『ぼくとベルさん』(第64回青少年読書感想文全国コンクール課題図書)などがある。日本国際児童図書評議会(JBBY)会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃ
115
「人とちがうことっていいことだ」「このままの自分が好き」と胸を張って言える自己肯定感。それには周囲の理解と愛情が欠かせない。アディは自閉的な特性を持つ少女。ある日授業で、かつてのスッコトランドでは魔女裁判で処刑された人々がいたことを知り、衝撃を受ける。人との差異が言われなき差別や排除を生む恐ろしさ。無理解な教師や級友に傷つけられても、家族や親友に支えられて前に進むアディ。周囲に合わせようと仮面を被るのではなく、周囲が知識や理解を少しずつ深めていけばいいのだ。多様性を育む寛容な社会に近づくための良書だ。2023/08/17
☆よいこ
89
YA。アディは「自閉」で感覚過敏やこだわりの強い性質を持っている。今まで仲の良かったジェンナは新しい友達エミリーとばかり一緒で、エミリーはアディを「変わった子」として嫌っている。アディは転校生のオードリーと友達になる。オードリーはアディを偏見なく見てくれる。地域学習で、自分たちの町が昔多くの「魔女」を殺した過去を持つことを知った。アディは、その時代に生きていたら自分も「魔女」だとされたと感じる。アディは慰霊碑を作る活動を始める▽「海にはあらゆる魚が欠かせない」自閉の姉キーディがアディを支えてくれた。良本2023/05/17
はる
78
良かったです。自閉スペクトラムの作者が描いた、自閉の少女の物語。スコットランドの小さな町。だがこの町ではかつて、魔女狩りとして「人と違う」女性たちが命を奪われていたことを知る。「もしかしたら彼女たちは私と同じだったのかも知れない……。」必死に周りに合わせようとする少女の日常が切ない。しかも担任教師が最悪。だが、理解してくれる親友と愛情ある家族の存在が嫌な気持ちを救ってくれる。温かさ溢れる終盤の展開がいい。ラストも爽やか。面白かった。2022/09/16
びわこっこ
51
小学校高学年の読書感想文課題図書。魔女という言葉に惹かれて読んでみた! 最初に思ったのは、大人でも知らない人が多い、自閉症スペクトラムについて、その特性が詳しく書かれている。主人公のアデライン(アディ)は自閉症だ。双子の姉、キーディも自閉傾向があるが、大学では、それを隠している。アディは、住んでいるジュニパーの歴史を授業で習う中で、昔、人と違うというだけで、魔女だと言われ迫害を受ける魔女狩りが行われた事を知る。自分も生まれた時代が違えば、魔女狩りで殺されたかもしれない! これが、題名になっている。2023/08/05
たまきら
50
娘の読書感想課題図書を盗み読み。スコットランドが舞台の自閉気味なため孤立している少女の物語です。よくある題材かもしれませんが、登場する人たちの心がこまやかに描写され、また知らない次元の世界を垣間見せてくれるところは読み応えがあります。ニューロティピカルという言葉を初めて知りました。同時にどのくらい日本の小学生が汲み取れるだろうか?と疑問も持ちました。娘とサメとイルカ比較で盛り上がったけど。2023/08/15