出版社内容情報
第三小学校の校長として、長く地域に尽力した高村正子さんが亡くなった。彼女の死を悼んだ後輩の教師たちにより、生前勤めた学校で「高村正子先生を偲ぶ会」が開かれることに。
教え子、友人、趣味の仲間、同僚……生前、彼女と関わっていた人々が偲ぶ会に持ち寄るための思い出の品を準備しながら、高村先生からもらった言葉や教えを振り返る。浮かび上がるのは、頼りがいがあって、生徒と真摯に向き合う高村先生の姿。しかし、実の娘だけは彼女に複雑な気持ちを抱いていて――。
一人の女性教師と周囲の人々との交錯を、温かな筆致で描いた感動作。
内容説明
30年以上、小学校教師として働き、校長も歴任した高村正子さんが亡くなった。同僚たちは高村さんを悼むため「高村正子先生を偲ぶ会」を計画する。かつての生徒、保護者、友人、同僚、趣味仲間、海外で暮らす娘。それぞれの思い出の品から、“先生”の姿が浮かび上がり…。
著者等紹介
瀧羽麻子[タキワアサコ]
1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒。2007年、『うさぎパン』でダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。2019年、『たまねぎとはちみつ』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
167
『知ってた?三小の高村先生、亡くなったんだって』。そんな言葉の先に生前の高村を知る者たちの過去語りが綴られていくこの作品。そこには、高村のことを今も忘れることのできない者たちの熱い思いが6つの短編に綴られていました。『校長先生』をキーとして連作短編を構成する6つの短編に登場するバラエティ豊かな人物たちの設定に唸るこの作品。そんな登場人物たちが生前の高村のことを思う目に高村の人となりが自然と浮かび上がってもくるこの作品。「さよなら校長先生」という書名の絶妙さにも唸る、瀧羽麻子さんの上手さを感じる作品でした。2024/12/09
モルク
105
30年以上小学校で教鞭をとり校長にまでなった高村先生が亡くなり、縁深い小学校で偲ぶ会が行われることになった。高村先生に関わった人たちの連作短編集。退職後10年も経つのにこんなに慕われている校長先生も珍しい。先生の娘の目線の話がよかった。人格者の先生ゆえに「先生の娘」としての立ち位置にいなければならない彼女の苦しさがわかる。生徒目線、娘目線、生徒の親目線のそれぞれが面白かった。2025/04/02
のぶ
90
第三小学校の元校長で、定年後も教育関連で長く地元で活躍された高村正子先生が亡くなる。その報を受けた人たちが、かつて高村先生と関わった頃のことを思い出し、温かい気持ちになる、連作ストーリー。いつも子どもたち一人一人のことを考え、温かく見守っていた高村先生。皆から好かれ、敬愛されてきた高村先生の人柄が、各章主人公の思い出から浮かび上がって来るようです。ただし、実娘となると、またそこは違った思いがあるようだ。6つの話それぞれを読み進むにつれ、浮き彫りになる人物の描き方が秀逸だった。2025/02/04
ゆみねこ
87
長年小学校で教鞭をとり、校長までつとめた高村正子先生。かっての同僚たちが高村さんを悼むため「高村正子先生を偲ぶ会」を計画する。かっての生徒や保護者、同僚、推し活仲間、海外で暮らす一人娘。それぞれから「先生」の姿が浮かび、何とも素敵な読み心地に。こんな先生と出会ってみたかったな…。2025/04/04
みかん🍊
87
30年以上教師を勤め校長も歴任し退職後も教育に携わっていた高村校長先生が亡くなった、元教え子やその親、同僚や推し活仲間まで人格者であった彼女と生前関わった人々のエピソード6編、良き教師であっても親子関係は複雑ではあるが、急な死であっても最後までキッチリ自分の身の回りの始末と段取りをつけて逝った高村校長先生は天晴です、こんな先生が身近にいてくれたらさぞかし心強い事だろう、最後は大団円かと思ったら意外にあっさりだったが心温まる作品だった。2025/01/27