出版社内容情報
プロ野球には守備機会という指標がある。刺殺、補殺、失策といったアウトに関与した守備機会のうち、失策しなかった割合を表す数字である。これは守備がうまい選手だと九割八分から九割九分ぐらいの数値をたたき出す。言い換えれば、百回のうち三、四回ミスをするだけで九割七分、九割六分となり、下手の部類に入ってしまうのだ。
そんな確率と戦う守備をテーマに「ミスをゼロに近づける方法」を紹介する。
ビジネスの世界でも一つのミスが〝命取り〟になることはあるだろう。だからこそ、会社や組織はミスをなくす対処法として、属人性を排したマニュアルを作る。
ただ、どの業界でもミスを完璧に消し去ることは極めて困難だ。
十回に一回なのか、百回に一回なのか、千回に一回なのか。それぞれの仕事によってミスの確率は変わってくるだろうが、いずれにせよ「私は百パーセント失敗しない」と言い切れる人はなかなかいないはずだ。
では、マニュアルを徹底的に頭にたたき込めばミスをなくせるのかと聞かれれば、首を縦には振れない。マニュアルに合わせているだけでは結局、仕事の一つ一つにおいて自分の形を作れていないからである。
たとえば一言一句を覚えて会議のプレゼンテーションに臨んだとしても、何かの拍子に言葉が飛ぶと頭が真っ白になってしまう人がいる。これはプレゼンする内容を頭の中で整理して、自分の言葉で伝えられていないからだ。
ミスを減らすために会社や組織がマニュアルを作るのはある意味、仕方がない。ただ、個々人は渡されたマニュアルを自分なりにかみ砕いて解釈して、自分の形を構築していく作業を忘れてはならない。自分で考えて準備をして本番に臨むことで、人はミスの確率を減らしていけるのだ。
著者は、ミスを犯したとき、なぜミスをしたのか――原因をきちんと分析して課題に置き換えれば、原因を消し去るための作業に入れる、と語る。
野球界では名手と呼ばれるプレーヤーはたくさんいるが、捕り方や投げ方は人それぞれだ。個々人で試行錯誤を繰り返した末に手に入れた「自分の形」だからである。
マニュアルを超えた試行錯誤を重ねてこそ、ミスの回数をゼロに近づけられるのだ。
本書では、ミスをなくすために著者が取り組んできた考え方や練習法について、そして、春季キャンプの臨時コーチを務めている阪神タイガースの守備陣について、源田壮亮選手、矢野雅哉選手ら現在のプロ野球を彩る名手について語る。また、ショート目線で見る野球の醍醐味についても語る。
◎「捕る」ではなく「はじく」練習
◎できること、できないことを何を基準に判断するのか
◎細分化して、ミスの傾向と理由を突き詰める
◎プロ野球はショート目線で見れば面白い
◎他人の正解はあくまで参考資料
◎落球ミスの裏に隠された本当の原因とは?
内容説明
そのエラーは捕球ミスなのか、送球ミスなのか、また、その原因はどこにあるのか―。NPBの一軍公式戦一九三九試合連続出場(歴代2位)、遊撃手として歴代最長のフルイニング出場記録(六六七試合)、セ・リーグのシーズン最多補殺記録(四九〇補殺)などの記録をもつレジェンドが、阪神タイガースの内野陣、また宮本慎也氏や小坂誠氏、現役の源田壮亮選手、矢野雅哉選手らの守備を分析。
目次
第1章 ミスの定義―「準備」「分析」「練習」のサイクル
第2章 実力を見極め、正しい準備をする
第3章 ミスを分析して改善する
第4章 年齢を重ねてもミスをしない
第5章 プロ野球はショート目線で見れば面白い
第6章 ミスを成長につなげる教え方
著者等紹介
鳥谷敬[トリタニタカシ]
1981年6月26日生まれ。東京都出身。聖望学園高校、早稲田大学野球部を経て、2003年ドラフト自由枠で阪神タイガースに入団。2019年までの16年間プレーし、NPB歴代2位の1939試合連続出場、13シーズン連続全試合出場、遊撃手として歴代最長の667試合連続フルイニング出場記録を樹立。ゴールデン・グラブ賞5回(遊撃手4回、三塁手1回)、ベストナイン6回を受賞。史上50人目の公式戦2000本安打および、史上15人目の1000四球を達成。2020年に千葉ロッテマリーンズに移籍、2021年シーズンをもって引退。引退後は、野球解説や、社会人野球部の指導を行うなど活動の幅を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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