出版社内容情報
あなたが江戸時代に生まれていたら、何を考え、何を残し、何に共感していただろう? 12人の事績に学ぶ江戸思想のワンダーランド。
内容説明
明治維新は徳川光圀から始まった。12人の苦悩が、思索が紡ぎ出す江戸思想のワンダーランドへ。
目次
1 徳川光圀
2 藤原惺窩
3 林羅山
4 中江藤樹
5 熊沢蕃山
6 契沖
7 伊藤仁斎
8 荻生徂徠
9 富永仲基
10 賀茂真淵
11 本居宣長
12 上田秋成
著者等紹介
橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館リベラルアーツセンター共同センター長。東京工業大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
123
江戸時代は徳治や忠孝を重視する儒学を幕府の公式学問とすることで、事実上の国教化を図った。水戸光圀、藤原惺窩、林羅山は儒教の忠実な信徒であったが、疑問を呈した中江藤樹は陽明学に転じ、熊沢蕃山や伊藤仁斎は独自の思想を唱えた。一方で中国古典に倣うのでなく、日本独自の思想を求める動きも高まった。契沖や賀茂真淵は万葉集に根源を求めて国学の基礎を築き、本居宣長と平田篤胤において尊皇思想に集大成されていく。いわば江戸思想とは宗教思想の誕生と相剋であり、勝ち組となった国学派の推す神道が明治の国教となるのは必然だったのだ。2024/12/29
trazom
105
儒学・国学合わせて12人の思想家が取り上げられている。タイトルは「…江戸思想」だが、むしろ「面白くて眠れなくなる江戸思想家」という感じ。12人のアウトラインの紹介が週刊誌的で面白い。徳川光圀は元ツッパリ不良少年、藤原惺窩はセレブ、熊沢蕃山は空気を読めない頑固者、契沖は負け組、富永仲基は元祖オタク人間などという乱暴なレッテル張りが、腑に落ちる。また、東西の思想に詳しい橋爪先生だから、林羅山は百科全書派、伊藤仁斎は言わば「儒学の福音派」、富永仲基の大乗非仏説は「史的イエス」などという連想もなるほどと思う。2024/12/03
ころこ
42
著者の本には初学者のために読み易い本があるが、本書は出版社のレーベルで読み易くしているのだろう。文字が大きく、短文で、誰でも読める。こういう本の良いところは、著者がレトリックで誤魔化せないということにある。読者の理解を促すことが、著者がどこまで理解しているか試されることになる。以前の対談本『げんきな日本論』で論点になっていたのは、非欧米圏で唯一、近代化に成功した日本の秘密のひとつには、江戸時代にあるというものだ。幕末の反幕運動のスローガン尊王攘夷の思想的な源流は、最初に登場する水戸光圀から始まっている。本2024/10/11
erico
3
江戸時代といえば武士、戦のイメージだったけどこれ読んで勉学に励んだ人達の背景を知って江戸時代を生きた人に親近感が湧いた。中身は違うけど、能動的に学ぶ時の姿勢は今も昔も同じだなと思った。家柄に縛られてる部分は大変そうだけど、改名したり養子で出入りしたり、今はない自由があったことを知れて面白かった。2025/03/13
masanari
2
馴染みの薄い江戸思想を軽い文体で読みやすく解説している。人物の生涯8、思想解説2の印象。著者自身が書いているように「踏み台」にして原典にあたるのがいいのだろう。2024/12/07