出版社内容情報
内容説明
江戸は深川、二人の「きたさん」が事件を通して成長していく。謎解き×怪異×人情、新シリーズ始動!
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年、東京生まれ。87年、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞、92年、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、93年、『火車』で山本周五郎賞、97年、『蒲生邸事件』で日本SF大賞、99年、『理由』で直木賞、2001年、『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、02年に同書で司馬遼太郎賞、07年、『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
689
宮部 みゆきは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の得意分野、時代ライトミステリの新シリーズでした。宮部 みゆき史上、最も貧相(10代で若いのに髪からして心もとない)な主人公ですが、シリーズ展開の中でドンドン成長していくのでしょうか? https://www.php.co.jp/kitakitamiyabe/2020/06/24
海猫
646
4話収録の捕物帖新シリーズ開幕編。文章がユーモラスでふんわりした雰囲気があり、各話の謎が奇妙で興味を惹かれる。そして親分を亡くした少年、北一の成長物語でもある内容。もう一人の主人公の喜多次は身上が謎めいているし、北一との仲はこれから深まるといったところ。千吉親分が第一話冒頭で亡くなっていながら、読めば読むほど生前の人物像が立ち上がってくるなど、舌を巻く巧さ。おかみさんが盲目なのに安楽椅子探偵のごとく謎解きしたり、その他の人物配置も手堅い。といった塩梅でこれは確実に話数を重ねるほど、面白くなる作品だと思う。2020/07/02
ひさか
538
月刊文庫文蔵2018年6月号〜2020年4月号の連載に加筆修正して2020年6月PHP研究所から刊行。ふぐと福笑い、双六神隠し、だんまり用心棒、冥土の花嫁の4つの連作短編。帯に「二人のきたさん」が登場するようなことが書いてあったので、二人目は誰かと気にしながら読み進めました。3話目で登場でした。登場する人逹が面白く、興味深い事件と推理が楽しいです。2020/07/26
タツ フカガワ
408
名うての岡っ引千吉親分が急死。手下だった16歳の北一はひとりで生きることに。しかし、周りで起きる奇妙な事件に関わっていくことになる。千吉親分の恋女房で目の見えない松葉や、旗本屋敷の用人青海新兵衛、おんぼろ湯屋の釜焚き喜多次ら、魅力的な脇役もいっぱい。それに北一の住まいは『桜ほうさら』と同じ富勘長屋で、差配人富勘はここでも大活躍。また『ぼんくら』シリーズの政五郎親分の名前が出てきたり、『〈完本〉初ものがたり』の稲荷寿司屋台の主人の正体の一端が明らかになったりなど、楽しい読書でした。2020/09/23
のり
378
皆に慕われていた文庫屋兼岡っ引きの親分が突然亡くなり、跡目を含め話合いに…「北一」は3歳の時に迷子になり親分に育てられた一番下の子分でもある。文庫屋(読本を入れる箱)は一番上の子分夫婦が継ぐことになるが、その嫁が…北一は寡婦となった「松葉」(盲目)に仕えながら文庫の振り売りを生業とし、次々とおきる事件を通して成長していく。助力してくれる面々にも惹かれる。それにしても松葉の千里眼と耳の早さには驚く。人情劇満載。2020/07/30