出版社内容情報
時間を遡れる坂、二年後からのメール……時間をテーマにしたちょっと不思議で、小さな奇跡が大きな感動を生むハートフル・ストーリー。
【著者紹介】
作家
内容説明
あなたの小さな決断がどこかの誰かを幸せにする―時間を遡れる坂、2年後からのメール、神様の落し物…あたたかい涙が思わずこぼれる、少し不思議な五つの物語。
著者等紹介
中山智幸[ナカヤマトモユキ]
1975年、鹿児島県生まれ。西南学院大学卒。2005年に「さりぎわの歩き方」で第101回文學界新人賞を受賞してデビュー。08年には「空で歌う」が第138回芥川賞候補にノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
180
想像以上にとっても素敵な連作短編集♪小さなきっかけ、決断が誰かの人生に影響を与えていく。何度も感動して鳥肌が立った!各章ゆるやかに複雑に繋がっている。タイトルからバタフライしているペンギンが浮かんでいたけどバタフライ効果のことのよう*どの章も切なく温かい♡全章大好きだけど「バオバブの夜」「ゲイルズバーグ、春」「神様の誤送信」が特に好き♡未来からメールが届いたり、タイムスリップしたりなど不思議な5編。「きっと、魔法の言葉があるわけじゃない。形だけの言葉を魔法にするのは、その人自身だ」数回優しい涙が溢れた♡2018/02/16
bunmei
107
題名の「バタフライ」は、「バタフライ効果」から引用し、日本語では「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺と同じ意味。つまり、非常に些細な事が、その後の様々な要因を引き起こし、だんだんと大きな現象へと変化すること。本品は、登場人物の小さな決断が、どこかの誰かを幸せにし、温かな涙が思わずこぼれ落ちる5つのストーリーです。一見、別々の物語が、実はちゃんと繋がっている、見事な連作ストーリーに仕上がっています。それぞれの話があたたかさを紡いで繋がり、必ず二度読みしたくなる一冊です。 2020/01/20
みかん🍊
107
時間を遡れるという坂で事故で亡くした妻を助ける為に自転車でバックする男からペンギンのキャラクター、伝説のアーティストをキーワードに少しづつ繋がる時空に関する5つの不思議な短編集、二年後から届くメールからの最後の2編が好きでした。飛ぶことは出来なくても跳び込む事は出来る、その少しの決断によって未来は変わるかもしれない、人は憶えていないだけで知らぬ間に時間を行き来しているのかもしれない。2015/11/25
chimako
103
時間というのはとても不思議。一年一日一秒を薄紙のように重ねて今がある。その薄紙がはらりと抜けたその場所は今ではないいつか。父と同じ時間を共有し、お互いに妻の出産を待つ。今まさに自分の子どもが生まれようとするその時に、自分の父親の想いを知る。父親同士として言葉を交わす。「名前をもらってくれませんか?」ジンときた。ペンギンはこの物語の軸。時空を越えて現れる。そして、連作のあちこちにちりばめられた魔法の言葉。たどり着きたい過去は無いから自転車の後向き運転もしないけれど、もし戻れるのなら小さい自分に一声かけよう。2015/12/23
sin
98
過去との遭遇、未来の訪れ、運命なんて信じない…誰もがいつかは去って逝く、でも今この時は確かに在って、その瞬間が過去を未来を引き寄せる。人生には辛いこともあるけど辛いだけじゃないって応援してくれるようなゆるいハッピーエンドな連作に、ホッとしたり、うるっときたり、そんな作者からの確信的なメッセージがここにあります。読書メーター献本応募でいただきました。ありがとう。2015/11/16
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- 九十九の満月(2)