出版社内容情報
太平洋戦争中に吐かれた名言や迷言あるいは暴言の裏にはどのような事実があったのかを、緻密な考証をもとに解説する。
【著者紹介】
戦史研究家
内容説明
2・26事件(昭和11年)では、叛乱軍の将校に「お前たちの心はヨオックわかっとる」と語りかける真崎甚三郎のような人物も出現した。昭和天皇が激怒したこの事件で、将校13名、民間人4名が処刑されたが、真崎は無罪であった。本書は、こうした「名言」「迷句」「メイク(でっちあげ)」「奇言」「暴言」を戦史から抜き出し、それを軸に太平洋戦争を通観する。取り扱う範囲は、昭和12年7月に勃発した支那事変(日中戦争)から日本陸海軍の終焉までとした。
目次
第1章 戦火中国に拡がる
第2章 南進か北進か
第3章 緒戦の快進撃
第4章 ミッドウェーの悲劇
第5章 早かった米軍の反攻
第6章 玉砕と天佑と
第7章 挙がらぬ戦果、困窮する銃後
第8章 特攻作戦の発動
第9章 聖断下る
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戦争を忘れないの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大統領
2
勝っているときは気前のいいことを、負けているときは不利を誤魔化すために美辞麗句を用いていた日本。それだけにたまに"バカヤロウ"というストレートな言葉が出てくると悲壮感が際立つ。勇猛な長勇中将が"カァチャン、恐いよう"と寝言を言って自分の最期を悟った同僚の話が印象的だった。軍人でさえ相当なプレッシャーだった戦争を国民たちに強いていたとは。2024/11/06
竜王五代の人
2
著者の遺作であり、大木毅先生が補っている部分がある。目次に挙げられた節ばかりでなくその下の小節の多くも歴史に残る言葉で立てられているが、選択はいずれも素直なもので(文学からとったものが多少は目につくか?)、つまりは平凡な太平洋戦争史である。印象に残ったのは香港攻略戦の英雄でガダルカナルで戦死した若林東一中尉のエピソードで一節が立てられていること。兵から士官学校へ引き上げられたのだから相当な能力を持った人材だったわけだ。2022/03/24