もはや、これまで―経綸酔狂問答

西部 邁/黒鉄 ヒロシ【著】

ＰＨＰ研究所（2013/12発売）

• サイズ B6判／ページ数 289p／高さ 20cm
• 商品コード 9784569813905
• NDC分類 304
• Cコード C0030

出版社内容情報

株価が上がって、オリンピックが来れば、この国は「天下泰平」なのか!?　二粋人が劣化列島の頂で朗らかに語る、真剣な冗談。

【著者紹介】
評論家

内容説明

劣化列島の頂で絶望を朗らかに語る真剣な冗談。

目次

序章　人類はなぜ劣化したのか
第１章　経済―グローバリズムの愚
第２章　教育―覚悟のすすめ
第３章　国家―百年後の日本のために
第４章　戦争と平和―すり替えられた記憶
第５章　武士道―『葉隠』再考
第６章　芸術・スポーツ―大いなる暇つぶしについて
第７章　死と宗教―自裁をめぐる二つの立場
終章　時代の観相学

著者等紹介

西部邁［ニシベススム］
１９３９年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学教養学部教授を経て、評論家。９４年から２００５年３月まで雑誌『発言者』の主幹を務める。現在、雑誌『表現者』顧問。また毎週土曜日放映の「西部邁ゼミナール」（ＴＯＫＹＯ　ＭＸ）で司会を務める。著書に、『経済倫理学序説』（中央公論新社、吉野作造賞）、『生まじめな戯れ』（筑摩書房、サントリー学芸賞）、『サンチョ・キ・ホーテの旅』（新潮社、芸術選奨文部科学大臣賞）など

黒鉄ヒロシ［クロガネヒロシ］
１９４５年、高知県生まれ。漫画家。６８年、「山賊の唄が聞こえる」でデビュー。９７年、『新選組』（ＰＨＰ研究所）で第４３回文藝春秋漫画賞を受賞。９８年、『坂本龍馬』（ＰＨＰ研究所）で第２回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞受賞。２００２年、『赤兵衛』（小学館）で第４７回小学館漫画賞審査員特別賞受賞。０４年、紫綬褒章受章（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[さきん]

題名通り、もはやこれまでという気分。でも挫けてはいられない。高校生の時に知った西部氏は今はいなくなってしまった。

2018/06/17

[姉勤]

東京の地方局、TOKYO-MXテレビの、「西部邁ゼミナール」ではお馴染みの二人。なので、一読者としてはすでに薫陶を受けている。今では数少ないテレビ視聴番組である。シニカルでありながら直球の意見は、日頃の莫たる不満、不安、不見識、不愉快などをサッパリさせてくれる。カウンターではなく、並んで肩を叩いて、そっちの方向でいいのか？と逡巡させてくれる。

2014/04/30

[Yoshihiro Yamamoto]

B- 西部邁の書くものは面白いが、難しいので、黒鉄ヒロシとの対談なら分かりやすいだろうと思って購入。しかし、やはり随所で置いてきぼりを食った感が否めない。先日読んだ劣化国家同様、人類が「劣化」しているとの問題意識に基づく。その原因を経済、教育、国家、戦争と平和などの側面から読み解く。「未来を見て不幸になっている」「文化的小児病」「イノベーションが元凶」「予測できない未来に対応できるのは人間の組織しかないのにすべてをマーケットに任せようという愚かさ」「グローバリズム＝ユニラテラリズム＝アメリカ帝国主義」など

2014/01/04

[モンドノスケ]

228頁の黒鉄さんの「しかめつらしい会議が行き詰まるのは、たいてい、櫓を組むためにみんなが規格品の材木を持ち寄っているからです。(中略)そこへ変な木を一本入れると、いきなり思わぬ方向に倒れる。そこから新しい展開が見えてくる」との指摘に思わず膝を叩いた。

2015/01/19

[マウンテンゴリラ]

まず、黒鉄ヒロシ氏の教養の深さには正直驚かされた。単に歴史に造詣の深い知識人であるばかりでなく、あの西部先生に教えを乞うだけではなく、互いに影響を与え合う存在でもあることが感じられた。自分の教養レベルでは望むべくもないが、このような語りが出来る友人関係に強い憧れを感じた。ただ、正直な感想を述べれば、対談者に対する、気遣い、あるいは尊敬による遠慮からか、西部先生独特の毒気や緻密さが、各方面に散乱し、薄められたようにも感じた。それは措いても、自らを愚者であると見極めた賢者同士の対談として、理屈抜きで楽しめた。

2014/11/12