出版社内容情報
三流大学の講師になった陽子に課せられた使命は、学生達を率い「ソーラーカーレース」で優勝すること。熱い感動がこみ上げる青春物語。
内容説明
大手電機メーカーを「ある事情」で退職したエンジニア・野口陽子は、存続が危ぶまれる東北の大学に非常勤講師として招かれた。彼女に課せられた使命は、「ソーラーカー」を作り、レースに出て大学の知名度を上げること。そして陽子のもとに集まった落ちこぼれの六人の学生たち。一見、能天気に見える彼らも心の奥には様々な悩みを抱えている。鈴鹿で行なわれる全日本ソーラーカーレース優勝を目指して、熱く激しい挑戦が始まった。
著者等紹介
高嶋哲夫[タカシマテツオ]
1949年岡山県玉野市生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。同大学院修士課程修了。日本原子力研究所研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。79年、日本原子力学会学会技術賞受賞。94年、『メルトダウン』で第1回小説現代推理新人賞、99年、『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
80
意見の食い違いから大企業を飛び出し、生活のために三陸沿岸の偏差値の低い大学に非常勤講師として雇われた・野口陽子。資金も知識もない中、ソーラーカーのレースに挑む。彼らの頑張りが結果として実り始めた時、あの震災・大津波が襲ってくる。困難を乗り越え、あきらめない彼らにエールを送りたくなりました。面白かった!2017/02/04
Tomokazu Kumada
30
大手電気メーカー「オリエント電気」を“とある事情”で退職したエンジニア「野口陽子」は、存続が危ぶまれる東北科学大学に非常勤講師として招かれましたが、それは1年以内に「ソーラーカー」を製作しレースに出場して優勝し大学の知名度を上げるという、勝てば昇進・契約継続、負ければクビという厳しい条件をつけられたモノでした。来年小学校に入学する一人娘の為にも、何としてでもソーラーカーを製作しレースに出場して優勝しなければならない陽子は、集まった6人の落ちこぼれ学生と共にゼロからの熱くて激しい挑戦が始まるのでした……。2013/05/26
miya
29
本書はソーラーカーで日本一、いや、世界一を目指すことになったごく普通の若者たちと訳あって非常勤講師として赴任した教師と、地域の中小企業の底力が集約され、後半では東日本大震災から新たな目標を立て前に踏み出す過程が静かに心に響くよう描かれている。本書を沢山の人たち、世代を問わず是非とも読んでいただきたい。若いっていいなぁ~。無限の可能性を秘めている。そしてそんな若者に何か与えられるようになりたい。人との繋がりや出会いって本当に素敵なことだと再認識させてくれました。感謝。2013/07/05
あっ!chan
24
ちょうどあと一ヶ月で、東日本大震災発災から三年。被災地のガレキ処理はこの3月で概ねメドがつくことになったが、復興に向けた歩みはまだまだ始まったばかりで、ゴールは遠い!そんな中たまたま手にしたこの小説は、大学の研究室を舞台にソーラーカーの開発を通して成長をしていく姿を描く一方で、東日本大震災直後の様子が書かれている。震災以外の箇所も含めて、細部の描写等はかなり甘いと思うけど、震災を忘れないためにはこんなかたちの小説があっても良いかなと思った。2014/02/11
さんつきくん
21
業界トップの企業を辞め、宮城県沿岸部の三流大学の非常勤講師となった野口陽子(29歳、子持ち)。学長からソーラーカーレース日本一になることを命題とされ、ゼロからソーラーカーを作ることとなった。「がんばれば夢は叶う」的な学生達との青春とサクセスストーリー。製作の描写は最初、上手く行き過ぎかなという印象を受けた。学生がやらかした的なそれも出てくるけど、中盤の方にようやくって感じ。ただレースの描写は迫力があった。そして、むかえた3.11。彼らは被災者となった。学生は避難所運営を担った。2013/12/10