出版社内容情報
平成の世に現れた現代の義賊「ねずみ小僧」。市役所で生活保護者担当の壮馬はその連続窃盗事件に巻き込まれる。驚愕の社会派ミステリー。
【著者紹介】
作家
内容説明
被生活保護者を担当するケースワーカーとして、大津市役所に勤める石坂壮馬。彼は、いっこうに自立しようとしない者や、保護費を詐取しようとする者、そして被保護者を食い物にする「貧困ビジネス」の存在に、生活保護制度の矛盾を強く感じていた。そんな中、大津市内では、あくどく稼いでいると評判の者から盗みを働き、貧しい人々に金を配る「現代のねずみ小僧」が話題になっていた。ねずみ小僧に複雑な思いを抱く壮馬だったが、ある日、彼の担当する被保護者が殺される事件が起こり…。「生活保護制度」の矛盾を突く問題作。
著者等紹介
大門剛明[ダイモンタケアキ]
1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。2009年『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞をW受賞。以後次々と新作を発表し、社会派ミステリーの新星として注目を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんたろー
181
新人ケースワーカー・壮馬を主役にした、著者が得意とする問題提起の社会派ミステリだが、死刑や冤罪をテーマにした時より掘り下げていない弱さを感じた。それは、同じ題材の『パレートの誤算』(柚月裕子さん著)でも感じたが、制度と人情が両立しない難しさがあるので、納得できる答えが見つからないからだろう。とは言え、目に浮かぶ人物描写、二転三転する犯人探し、展開の速さ等、エンタメ面は手馴れていて、スイスイ読めるのは職人技。壮馬の葛藤がフェードアウトしたのが惜しいが、250ページ程で巧くまとめてあるので大門さん入門編かも?2020/03/10
takaC
71
着想は良いと思う。ただ、もう少し書き方に工夫が欲しかったかな。でも面白く読める本だった。2013/09/07
やこ´•ᴥ•`
67
大津市役所でケースワーカーとして働くことになった新卒の壮馬。生活保護受給者を相手に仕事をこなすうちに、生活保護制度に矛盾を感じるようになる。そんな中、壮馬の担当する受給者が殺される事件が起き...---生活保護を題材にした物語をいくつか読んでいますが、難しい問題ですね。こちらでは現代のねずみ小僧まで出てきちゃって、まさにねずみ小僧のやってる「必要なものを」届けると言う物品支給が正しいのかもとも思わされ...現実にはそんな個々に必要なものを調査していられないんだろうけど。ミステリーの展開としては私は想定外→2020/03/01
ミーコ
50
サラッと読める1冊。ケースワーカーさんの苦労が少しだろうけど分かった気がします。ねずみ男が誰なのか・・・ とても気になり一気読み。 グイグイとは引き込まれなかっかけど、普通に面白かったです。2014/07/31
たち
46
ケースワーカーという仕事の過酷さがよくわかりました。真面目に取り組んでいたら自分が壊れそう。かといって、いい加減な対応も許されず、本当に大変ですね…。壮馬の件のように、些細な犯罪が人を不幸したかと思えば、逆に少しの善意が積み重なって人を救う事にもなるように思います。つねに、自分のできる事を意識していたいです。2019/05/23