内容説明
百人に一人がかかる身近な疾患であるにもかかわらず、多くの人にとって縁遠く不可解な統合失調症―そのメカニズムが現在かなりのところまで解明され、治療法は大きく様変わりしつつある。時間はかかるが統合失調症は克服できる病になろうとしているのだ。本書ではこの疾患の背景やメカニズム、治療技術ゆ回復過程について、最先端の知識をわかりやすく伝える。そして、この病を理解して克服するためには、正しい知識とともに人間として共感する姿勢が大切だと説く。
目次
第1章 統合失調症とは、どんな病気か
第2章 闇に閉ざされた歴史から希望の光へ
第3章 統合失調症の症状と診断
第4章 統合失調症と認知機能障害
第5章 統合失調症の神経メカニズムと原因
第6章 統合失調症と社会
第7章 統合失調症の治療と回復
著者等紹介
岡田尊司[オカダタカシ]
1960年、香川県生まれ。精神科医。医学博士。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事。現在、京都医療少年院勤務。山形大学客員教授。臨床医として、現代人の心の危機に向き合う。また、小笠原慧のペンネームで小説を執筆。横溝正史賞を受賞した『DZ』『風の音が聞こえませんか』(以上、角川文庫)などの作品がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡本正行
30
家族に統合失調症の患者がいるので、内容は、よく理解できた。今後も参考にしたい。結局は、いまの医学では治らない。対症療法で、空笑いや幻聴幻覚は、投薬のお蔭、あるいは入院したことによる本人の病識が強まり、ある意味、回復への道程にもなった。そうしたことを理解しつつ、作業所での社会参加訓練、自宅での居宅介護支援など、行政の援助も多分に受けている。これも消費税あるからのお蔭、完全な悪者扱いされている消費税、様々なところで支援になっている。精神病院も、急性期、あるいは慢性期の患者だけでなく、様々な分野の専門家のお蔭2022/09/16
蓮華
28
統合失調症がどのように研究され、治療法が確立されてきたのかという統合失調症の歴史が書かれている。 先進国と途上国での回復状況はとても興味深い。 最新医療よりもシャーマンの呪術のほうが効果があるなんて。 結局は患者との関わりかたにつきるのだろう。2018/02/04
Mizhology
20
こういう本では珍しく泣いてしまった。著者の統合失調症患者への愛情を感じた。再発の予防を子育てのように愛情深く見守ってる感覚が伝わってきた。長い闘病だし、回復していく様をこういう先生に診てもらえたら幸せだと思う。うつ病など、他の精神疾患と診断されていても、長い目で見たら統合失調症の場合もある理由がわかった。神経が昂ったり傷ついたり萎縮したりしていても見た目ではわからない。精神科領域の難しい現実も。2019/09/05
職商人
18
友人が発病した。必要に迫られて読んだ。2014/07/22
Hana♪
15
特に第四章の「統合失調症と認知機能障害」が興味深かった。 統合失調症では情報の取捨選択、つまりフィルタリングが上手く機能しないことにより過敏性や混乱、事実誤認が生じやすくなるというもの、そして、患者がひきこもるのは情報の過負荷から逃れるためだと考えられるとのこと、つまり繊細だと言うことか。 「多くの人が統合失調症の遺伝子変異を持っている」とのことなので、自分の認知機能のどの部分が弱いか(弱点)を知っておくことが大切だと痛感した。2013/03/22
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