PHP新書<br> あの作家の隠れた名作

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PHP新書
あの作家の隠れた名作

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  • サイズ 新書判/ページ数 245p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569774763
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

出版社内容情報

文豪たちの知られざる逸品を読み解く。

夏目漱石、太宰治、三島由紀夫、尾崎翠……。あの文豪が、こんな作品を? 近現代の作家12人の隠れた名作を丹念に読み解く。

「代表作」ばかりが名作ではない。作家たちが残した、あまり知られていないけれども極めておもしろい作品の数々。そこには、書き手の意外な一面や素顔がちらりと顔をのぞかせることも。裏まで奥まで、丹念に読めば読むほど深まる、小説の愉悦がここにある。

▼異国の人魚に魅入られた皇帝の退廃と耽美の物語(谷崎潤一郎『人魚の嘆き』)、出生の秘密を抱える妹と兄とその友人の秘やかな三角関係(尾崎翠『無風帯より』)、女の片腕と過ごす奇妙な一夜に漂う孤独なフェティシズム(川端康成『片腕』)、女学生の一人語りで綴られる、自己を超越した自意識(太宰治『女生徒』)、冷感症の美女と精神科医の男の艶かしくも知的な駆け引き(三島由紀夫『音楽』)……。その他、夏目漱石、萩原朔太郎、芥川龍之介、宮沢賢治、梶井基次郎、吉行淳之介、多和田葉子と、彩り豊かな作家計12人が勢ぞろい。あなたにとっての名作が、きっと見つかる。
[挿画:宇野亜喜良]

●まえがき 
●<1>進化論を超えて 夏目漱石『趣味の遺伝』 
●<2>輸入品としての「気分」 谷崎潤一郎『人魚の嘆き』 
●<3>逆さまから見る世界 萩原朔太郎『猫町』 
●<4>語り手は「私」ではない 芥川龍之介『蜜柑』 
●<5>「法」と「道徳」 宮沢賢治『月夜のけだもの』 
●<6>重ね合わされる秘密 尾崎 翠『無風帯から』 
●<7>淋しいフェティシズム 川端康成『片腕』 
●<8>眩暈のような自意識 梶井基次郎『泥濘』 
●<9>自分を超える自分 太宰 治『女生徒』 
●<10>言葉と戯れる恋人たち 吉行淳之介『夕暮まで』 
●<11>否定的な自己肯定 三島由紀夫『音楽』 
●<12>紙の上の出来事 多和田葉子『時差』 

内容説明

「代表作」ばかりが名作ではない。作家たちが残した数々の小説のなかには、あまり知られていないけれども極めておもしろい作品が存在する。そこには、作家の意外な一面や素顔がちらりと顔をのぞかせることも。裏まで奥まで、丹念に読めば読むほど深まる、小説の愉悦がここにある。夏目漱石、谷崎潤一郎、芥川龍之介、太宰治といった文豪はもちろん、萩原朔太郎、宮沢賢治、近年再評価の進む尾崎翠や、現在活躍する多和田葉子など、彩り豊かな作家十二人が勢ぞろい。あなたにとっての名作が、きっと見つかる。

目次

進化論を超えて―夏目漱石『趣味の遺伝』
輸入品としての「気分」―谷崎潤一郎『人魚の嘆き』
逆さまから見る世界―萩原朔太郎『猫町』
語り手は「私」ではない―芥川龍之介『蜜柑』
「法」と「道徳」―宮沢賢治『月夜のけだもの』
重ね合わされる秘密―尾崎翠『無風帯から』
淋しいフェティシズム―川端康成『片腕』
眩暈のような自意識―梶井基次郎『泥濘』
自分を超える自分―太宰治『女生徒』
言葉と戯れる恋人たち―吉行淳之介『夕暮まで』〔ほか〕

著者等紹介

石原千秋[イシハラチアキ]
1955年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程後期中退。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

退院した雨巫女。

10
《私‐図書館》文豪やこの本に登場する作家さんの代表作もあまり読んでいないのに、登場した作品は、よんでるのが、ある。代表作読もう。2012/05/10

ととろ

3
谷崎潤一郎『人魚の嘆き』を紹介していたので手に取った。著者は同作品を「倦怠とエキゾチズム」で読み解いた。同作品では、清王朝時代の若き富豪でありながら倦怠を抱える貴公子が、西洋の美しい人魚をひと目見てその解消を期待する。同時に西洋は人魚同様に美しい人々の住まう土地だと夢想する。帰郷を望む人魚の「嘆き」は美しい西洋への渡航を望む貴公子の「嘆き」と重なり、表題は回収される。「倦怠」という気分は大正時代に西洋より清朝を経て日本に輸入されたものであり、倦怠への憧憬は即ち支那と西洋の両方のエキゾチズムへの憧憬となる。2015/02/17

ottohseijin

2
読み解き方の妙をよむ本で、紹介された作品を読みたくなるタイプの書評ではなかったのは、少し残念。2010/02/22

し、も、だ、

1
太宰の「女生徒」に釣られて読んだのだけど、全体的によかった。手法とか、作者の狙いとか考察系。純粋に読みたいと思える本が多かった。2012/04/19

AR読書記録

1
別に隠れてないものも多かった気がするのと,「へえぇ,あの人がこんなん書いてはるんや」みたいな,意外な作品が紹介されていたわけではないかな,と思うので,タイトルから想像された読後感ではない.でも,そうか,小説の読み方にもいろんな技があるな,面白いな,と気づかせてもらえたのはありがたい.2010/10/08

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