出版社内容情報
あらゆるもの(宗教、階級、文化、経済)のルーツは月と太陽といわれる。暦がどう影響を与え発展していったか考察し世界史を読み通す。
内容説明
現代では暦の常識が薄れているので、古代文明が驚異的な天文知識があったと聞くとすごいと感じてしまうが、暦によって農業の生産力を高められたし、暦を司る者は権力を確実にした。つまり、集団を統治するうえで重要なものだった。暦が果たす役割はこれまで歴史学的には重要視されてこなかったが、本書では社会誕生のプロセスに焦点を当てて暦の影響力を考察する。文庫書き下ろし。
目次
序章 地球が丸いことは紀元前には常識だった
第1章 人類が閏年を手にしたのは紀元前だった
第2章 スエズ運河開通計画は紀元前からあった
第3章 社会の発展には正確な暦が不可欠だった
第4章 中国では暦が服従のバロメーターだった
第5章 江戸時代まで日本は暦の後進国だった
著者等紹介
谷岡一郎[タニオカイチロウ]
1956年、大阪府生まれ。1980年に慶應義塾大学法学部を卒業後、1983年、南カリフォルニア大学行政管理学修士課程を修了。1989年、社会学部博士課程を修了(Ph.D.)。大阪商業大学教授を経て、1997年、大阪商業大学学長、2005年、学校法人谷岡学園理事長。専門は、犯罪学、ギャンブル社会学、社会調査論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
18
図書館本。暦と度量衡を制する者が世を統べる。のは常識だと思ってた。どうやら世間ではそう思われてないので、この本が書かれたのかな。暦とリンクする過去〜現代のボードゲームのコラム面白かった。ただ、この著者の歴史認識がちょっとあやしくて、人類がアフリカを出た足跡のところと、ローマ帝国のキリスト教以前をまるっきり無視してるのは気になった。2018/11/10
ごいんきょ
8
歴史が暦をつくるのか、暦が歴史を作るのか。 暦が歴史に影響を与えていたなんて思いもよらなかった。2018/04/13
じゅん
6
筆者が言うように、歴史学の中で暦が果たした役割は大きいことが理解できた。農作物を採集や狩り、潮の満ち引きのような基本的な生活に関わるものから、労働計画をたて社会的な発展を図るために政を司る人々には必須だったのだろう。それが占いや戦争といったあまり望まれないものも導いてしまったとしても。暦に関しては、今やコンピュータで過去も未来も簡単に分かるのだろうが、紀元前から、地球が丸かったことが知られていたり、閏年の必要性が知られていたり、最も驚きだったのは、日食や月食を表示する機械があったことだ。2018/05/05
tnyak
6
暦と社会の成り立ちや変化について論じた好著。まず、古代文明が驚異的な天文知識を持っていたことに驚きました。地球が丸いことも、人類が閏年を手にしたことも起源前だったことを初めて知りました。暦がこれまで果たしてきた重要な役割についての論考は、極めて刺激的でした。 2018/02/01
犬養三千代
5
暦は世界を変えない!暦は必要な関係性において働くと思う。2020/09/17