出版社内容情報
日本人が正面からの個人間の「対話」を避けるのは、「思いやり」のためだ。誰も傷つけずに語ることのズルさから、日本人の精神構造に迫る。
【著者紹介】
哲学者、作家
内容説明
教師が語りかけても沈黙を続ける学生たち。街には無意味な放送や看板が氾濫する。なぜ私たちは正面から向き合う「対話」を避けるのか?無意味で暴力的な言葉の氾濫に耐えているのか?著者は、日本的な優しさこそが「対話」を妨げていると指摘。誰も傷つけずに語ることの虚しさを訴える。風通しのよい社会を願い日本人の精神風土の深層に迫る。
目次
第1章 沈黙する学生の群れ
第2章 アアセヨ・コウセヨという言葉の氾濫
第3章 “対話”とは何か
第4章 「思いやり」と“対話”
第5章 「思いやり」とエゴイズム
第6章 “対話”のない社会・“対話”のある社会
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
哲学者。1946年、福岡県生まれ。元電気通信大学教授。現在は「哲学塾カント」を主宰。東京大学教養学部並びに法学部を卒業。77年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。83年、ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学博士。専門は時間論、自我論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
団塊シニア
48
無条件の思いやりには勇気がともなうという作者の持論は正論である、いじめによる自殺についても言及しており、本当の意味での「思いやり」について考えさせられる内容である。2016/02/20
テツ
26
思考停止した思いやり、自分では気づかないうちに利己主義にまみれながら行うそれは全く尊い行いではなくむしろ暴力的なのだということをいつもの中島先生節で説かれている。個人という存在を丹念に消し去り「みんな」という理解不能な概念を作り出し、薄ぼんやりとした善なる行為をそれの是非も問わずに共有しようとする和の精神。確かに気持ち悪いよな。対話の重要性。一方的な思いやりの暴力性。読了すると他人と交わす言葉の重みを骨の髄まで叩きこまれる。中島先生の本は面白い。2016/11/18
金吾
23
○日本を西洋と対比している部分は客観的でありながら、相変わらずの怒りがある点が面白かったです。川端康成の「雪国」の島村がソクラテスだったらの話は爆笑しました。思いやりはエゴイズムの変形や和の精神は状況功利主義というのは至極納得出来ました。2022/04/26
taro335
6
(毎度のことながら)義道さんが、違法駐輪自転車に怒ってバタバタ倒し始めるなど怒りをぶちまけはじめると、心のなかで「おっ、始まった。ええぞ、ええぞ〜」と喝采を送る自分がいる…。2016/03/10
~
6
毎回同じ話だな2016/03/06