出版社内容情報
伝染病により「唇を合わせること」が禁じられた世界。先輩の死はその病ゆえなのか。少女が辿り着いた甘く残酷な真相を描くミステリー。
【著者紹介】
作家
内容説明
感染から数週間で確実に死に至る病。そのウイルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。かつては愛情を示すとされたその行為は、国際的に禁じられ、封印されている。しかし、ある全寮制の学園で一人の女生徒が亡くなり、「彼女の死は、“あの病”によるものらしい」と不穏な噂が駆け巡った。真相を探る後輩の美詩が辿り着いた、あまりに甘く残酷な事実とは。鮮烈な印象を残す青春ミステリー。
著者等紹介
近藤史恵［コンドウフミエ］
１９６９年、大阪生まれ。１９９３年に『凍える島』で第四回鮎川哲也賞を受賞し、作家としてデビュー。２００８年には『サクリファイス』で第十回大藪春彦賞を受賞、また、本屋大賞２位にも選ばれた（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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hiro
108
１０代向けに書かれたミステリとは知らずに、単純に近藤作品が文庫化させたということで読んでみた。“ソムノスフォビア（唾液感染性睡眠恐怖症）”というキスのみで感染する致死率100％の感染症より、世の中のいろいろなことが変わってしまった2028年の、全寮制高校が舞台。そのソムノスフォビアで亡くなった織恵は、だれとキスをして（またはキスをされて）感染したのかを、探偵役の後輩美詩が調べ、謎を解いていく。ソムノスフォビアという感染症の微妙な設定と、全寮制高校ということで、独特の世界観があったミステリとなっていた。2015/09/21
ままこ
78
感染したら致死率100％の奇病ソムノスフォビア。感染源はキスのみ。美詩が憧れていた美しい先輩の突然死との関連は…。クルッと反転後、ああっとタイトルの意味と伏線に気付かされる。甘美さと透明感と残酷さを併せ持つミステリ。2022/10/12
りゅう☆
71
キスで感染し必ず死ぬ病。大好きな織恵の死にショックを受ける美詩。寮生活という閉塞的な環境でウイルス保持者であるキャリアとキス？なぜそんな違法行為を行ったのか？織恵の死の真相を探り始めた美詩。そんなある日、陸上部の砂川と数学教師竹内のキスシーンを目撃。男同士且つ生徒と教師という関係だけでも驚きなのに、まさかのキス…。愛情表現であるキスが死に至るという斬新な設定に加え、二転三転する真相に驚き、ラストは何とも言えない展開に唖然。一気読み。砂川の恋を描いた『夕映えの向こうに』近藤さんのBLが読めて嬉しかったです。2023/06/03
くろにゃんこ
53
キスによって感染する致死率１００％の病気。ある日、全寮制の学園の女生徒が死んだ。いったい誰がキャリアなのか？犯人探しが始まる。う～ん、まさかの結末でした。ちょっと後味の悪さもあるけれどそんな風に使うことも出来るんだ。ニヤリ☆でした（笑）2015/05/15
papako
50
さくっと。近藤さんお得意の痛いような少女のお話。潔癖すぎる少女、愛も友情も境目がなく、甘くて切ない薔薇色の世界。愛しい人の死は自分の死よりも少女をこわす。きれいに流れるように物語がすすみ、ラストの落ちはさすが。巻末の短編がお気に入りです。2015/04/07
