内容説明
今では街から姿を消してしまった街頭紙しばい。紙しばいの仕事に誇りを持ち、子どもたちに夢を与えつづけたある一人の紙しばい屋さん。「がん」によって声を失うという悲しい出来事に直面しながらも、再び紙しばいを演じたいと願った紙しばい屋さんの、感動の物語。小学上級以上。
著者等紹介
関朝之[セキトモユキ]
東京都生まれ。城西大学経済学部・日本ジャーナリストセンター卒業。スポーツインストラクターなどを経てノンフィクション・ライターとなる。医療・スポーツ・動物・旅などを取材テーマに同時代を生きる人々の人生模様を書き続けている。2006年「第1回子どものための感動ノンフィクション大賞」優良作品賞を受賞
吉川聡子[ヨシカワサトコ]
北海道生まれ。北海道教育大学、特設美術課程で日本画を学ぶ。「月刊MOE」のイラスト・コンテストでデビュー。その後イラストレーターとして活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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やすらぎ🍀
126
紙芝居を始めた頃は、裏書きを読むだけで精一杯。通りすぎる人の目も気になり声が震える。それがいつの間にか記憶して、創作したりして子どもたちは笑顔になる。語り口調に抑揚をつけ、目の前の子の名前を覚えてお話に登場させ、森下正雄さんが演じる物語へと惹き込まれていく。お菓子を買わなくても見られるよ。おじちゃん、絶対にまた紙芝居見せてね!あぁ約束するよ。…その後、絵本、漫画、ラジオ、テレビ、経済成長。移り行く町並みから拍子木の響きが消えた。あの時の子どもが大人になり、おじさんに再会し生まれた本。人と人は繋がっている。2021/05/29
ヒラP@ehon.gohon
19
喉頭ガンで声を失った森下正雄さんの実話を読みながら、様々なことを考えました。 戦後の時代の子どもたちの娯楽であった街頭紙芝居は、時代とともに姿をなくしていったけれど、捨てがたいロマンの世界でした。 紙芝居には、演じ手と子どもたちとの間で行われる、直接的な心のキャッチボールが有るからでしょう。 姿を変えた現代の紙芝居に、魅せられてしまった自分のモチベーションは、そこにあります。 2020/04/12
Naomi
19
喉頭ガンにより声帯をなくした紙芝居屋の森下正雄さんのお話。興味深い内容なんだけど、子ども向け文章だからか、時代が前後しながら書かれているからか、ちょっと読みにくかった。ガンの手術後、カセットテープに残っていた声で演じる舞台を、子どもと見にきていたお父さんが「紙芝居を見ているとき、ぼくの時間が少年時代に戻りましたよ。」って。そんな豊かな経験を送れた子ども時代、いいなぁ。2014/07/20
ろうず
4
紙芝居の歴史が分かってとても勉強になった。紙芝居で子どもたちに喜びと気持ちの豊かさを届けてきた人がいたということが分かった。どんなことでも自分が信じたことを続ける通すことは本当に素晴らしいと思った。2014/04/06
すいかちゃん
4
私が小学生の時にはお菓子は売ってなかったけれど、公園で紙芝居をしてくれたおじさんがいました。そんなことを思い出しながら懐かしい気持ちで読みました。今のこどもたちにピンとこないかもしれないけれど、こういうお仕事もあったのだということを知るいい本です。2010/11/03